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岡山第一病院・諸國眞太郎院長に最新の治療法聞く 血管浮き出る下肢静脈瘤 日帰り可能で手軽なストリッピング手術

諸國眞太郎院長

下肢静脈瘤で血管が大きく浮きあがった脚

(イラスト)

 脚の血管が浮き出て見えたり、むくんだりする下肢静脈瘤(りゅう)。命にかかわることがないため放置する人も少なくないが、最近は日帰り手術の導入で手軽に治療が受けられるようになった。「下肢静脈瘤日帰りセンター」を九日に開設する岡山第一病院(岡山市高屋)の諸國眞太郎院長に最新の治療法を聞いた。

 下肢静脈瘤は、静脈の中の「弁」が壊れて起きる。この弁は、重力によって上から下に向かおうとする血液の流れをせき止め、正常に心臓に戻す役割をしているが、壊れると血液が逆流し、脚に滞留していく。脚の付け根の内側にある表在静脈の弁で起こりやすく、骨近くを流れる深部静脈と合流することで多くの血液が流れ込む。

 命に別状はないが、脚にだるさや痛みがあり、放置すると皮膚がただれることもある。血栓ができやすくなり、肺の動脈が詰まるエコノミークラス症候群との関連も指摘されている。

 「発生頻度は軽い症状を含めれば、十五歳以上の男女のうち、43%に上るという調査もある」と諸國院長。特に調理師のように立ち仕事が多い人や妊婦に起きやすい。

 治療法としては、「弾性ストッキング」は脚を圧迫して血液の逆流を防ぐ。薬剤を注入して血管をふさぐ「硬化療法」は短期間で治療できる。だが、ストッキングは脱げば効果がなくなり、硬化療法は再発する可能性もある。

 現在、最も効果的なのが静脈瘤ができた血管全体を壊れた弁ごと抜き取る「ストリッピング手術」。従来は約一週間の入院が必要だったが、局所麻酔の進歩などで日帰り手術が可能になった。

 時間は約四十分と短く、翌日から通常の生活に戻れる。血管を抜いても影響はない。手術費用は保険適用で、日帰りの場合、四万~五万円で済む。

 「レーザー治療」は西日本でまだ数えるほどしか手掛けていない治療。レーザーで血管を内からふさいでしまうので、傷口がほとんど残らず、痛みも少ない。欧米では頻繁に行われているが、国内では保険診療に認められていないため、ストリッピングに比べ、割高になる。諸國院長は「ストリッピングと同程度の効果で、手術したその日から風呂に入れるなどとても簡便。いずれは治療の主流になるだろう」と話す。

 同病院の日帰りセンターは「下肢静脈瘤の専門外来としては岡山県内で初」(諸國院長)。現在行われている治療法を幅広く行う。「入院するほどでもない」と我慢している患者には受けやすくなる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年04月02日 更新)

タグ: 健康高齢者心臓・血管

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