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マダニ媒介の新感染症注意を 県、予防対策呼び掛け

国内初の感染症を媒介するマダニ。屋内のイエダニより大きい(県環境保健センター提供)

 野山に生息するマダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)が1月末、国内で初確認されたことを受け、県が医療機関に注意喚起している。有効なワクチンや治療法がなく、中国では致死率が十数%に上る。ダニの活動が活発になる春に向けて県民に予防対策を呼び掛け、重症化などの事態を防ぐ方針だ。

 SFTSは中国で2009年ごろから発生が報告され、発熱や嘔吐(おうと)、筋肉痛、意識障害、血小板減少などの症状がみられる。マダニが感染源と考えられ、かまれて6日〜2週間で発症。患者の血液に接触し感染する例もある。

 国内で初確認された山口県の成人女性は昨秋、発症から約1週間後に死亡。厚生労働省によると、明確なかみ痕は確認されなかったが、血液からウイルスの遺伝子が見つかった。遺伝子配列の一部が中国のものと異なり、日本にもともといたウイルスとみられる。

 県は1月31日、県医師会と県病院協会に対し、医療機関に注意を呼び掛けるよう文書で要請。SFTSと類似の症状を訴えた患者がいれば、速やかに県へ報告するよう求めた。現段階で詳しい感染経路は解明されていないが、新たな情報が分かればホームページでも注意喚起する。

 マダニは体長3〜4ミリ。屋内のイエダニより大きく、青森以南の山野や畑に分布している。マダニが媒介する感染症は、全身に発疹ができる「日本紅斑熱」も知られ、県内では11年に3人が発症。09年秋に感染した倉敷市の80代男性は風邪と診断されて治療が遅れ、一時重体になった。

 県健康推進課は「森や草むらに入る時は長袖、長ズボンで肌を露出させないことや帰宅後、体をきれいに洗い流すことなどが大切。ダニにかまれて症状が出た場合は早期に医療機関へ受診してほしい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年02月02日 更新)

タグ: 健康感染症

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