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ウイルス増殖抑制 DNA切断酵素作る 岡山大大学院・世良教授ら成功

世良貴史教授

 岡山大大学院自然科学研究科の世良貴史教授(タンパク質工学)と森友明研究員(同)らは、DNAの特定の部位に結び付き、その位置で切断する酵素を使い、試験管レベルでウイルスの増殖を抑えることに成功した。子宮頸けいがんやB型肝炎などウイルス性の病気治療への応用が期待できる。成果は21日、米オンライン科学誌プロス・ワンに掲載された。

 世良教授らは、子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)に関して、特定の塩基配列だけに結合するタンパク質を合成。さらに、DNAを切る能力のある酵素と融合させて「人工制限酵素」を作った。

 これをヒトの細胞膜の内側に投与して3日間培養したところ、HPVはDNAの特定部位が切断されて複製がストップし、ほとんど増殖できなくなった。細胞膜を通り抜けられる改良型の実験でも同様の効果を確認した。世良教授によると、副作用は細胞レベルでは出ていない。

 この手法はB型肝炎や天然痘、ヘルペスなど、DNAを持つウイルスが原因の病気ならば使用できるという。

 世良教授は「ウイルスが体内に侵入しても、増えなければ病気にはならない。新しい抗ウイルス剤として、塗り薬や注射などで効果が見込める。動物実験などを経て、将来の実用化を目指したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年02月22日 更新)

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