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赤磐の「ぐんぐんキッズ」1年 自閉症児の教育や生活支援

支援員とともに勉強やコミュニケーションの方法を学ぶ利用者(右)

 自閉症の小学生を対象に、教育や生活面で支援するデイサービスセンター「ぐんぐんキッズ」(赤磐市立川)が開設1年を迎えた。岡山県自閉症児を育てる会(鳥羽美千子代表)が運営し、33人の児童が在籍。苦手なコミュニケーションの仕方などを学んでいる。育てる会が2005年に設立した、小学2年生以下が対象の既存のセンターと合わせ、継続した支援システムが確立され始めた。

 民家を改修したぐんぐんキッズには、勉強部屋や、押し入れを改造した「1人になるためのスペース」などがある。子どもたちの椅子のそばには「手伝ってください」「トイレに行きたいです」といった複数のカード。「自閉症の子どもは、困ったときに周囲が助けてくれることを知らない。支援をきちんと受けられるようになるための訓練です」と鳥羽代表は説明する。

 週に1回、放課後の約2時間半を利用し、支援員7人が1対1で宿題などの勉強に対応。できないことや嫌いなことを求められても「ノー」と言えないため、「拒否してもいいんだということを分かってもらう練習もしている」と支援員の松田紗代さんは言う。

 既存のセンター「赤磐ぐんぐん」を利用する保護者から、「3年生になっても継続支援を」との要望を受け、昨年4月にオープンさせた。6年生までの33人は、全員赤磐ぐんぐんの“卒業生”。赤磐、岡山市が大半だが、美作、備前市から通う子もいる。

 自閉症児を教育・生活面で支える場は、公営民営を含め県内ではほとんどないのが現状。8歳の長男を通わせる岡山市の母親(33)は「小学校の支援学級では勉強が優先され、自閉症児のためのケアは不十分。継続して通える場があるのはとても心強い」と話す。

 今、育てる会は「中学進学後の支援」を課題に挙げる。ただ、「運営には費用がかかり、専門知識が必要なスタッフの確保もままならない」と鳥羽代表。「本来は学校教育の中で自閉症児のプログラムも用意されるべき」と言い、各学校で一人一人に応じた指導がなされることを願っている。問い合わせは事務局(086―955―6758)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年04月16日 更新)

タグ: 子供

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