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自殺の原因、最多は「健康問題」 12年岡山県警まとめ

 岡山県内の2012年の自殺者は16年ぶりに400人を下回ったものの、原因別ではうつ病や身体の病気に関する「健康問題」が2年連続で最多だったことが県警のまとめで分かった。働き盛りの中高年が依然半数以上を占め、病気や失業で先行きへの不安を募らせ追い詰められている現状が浮き彫りになった。

 総数は382人(前年409人)で2年連続マイナス。人口10万人当たりの自殺率は19・7人で、全国7番目の低さだった。

 調査は、遺書や遺族からの聞き取りなどを基に分析。主な原因・動機(判明分269人、重複あり)では、うつや統合失調症、身体の病気など「健康問題」が175人(65・0%)。次いで、夫婦や親子関係の不和で悩む「家庭問題」74人(27・5%)、失業や生活苦による「経済・生活問題」71人(26・3%)、職場環境や仕事の失敗などの「勤務問題」38人(14・1%)―と続いた。

 年齢別では40代が最多の70人、60代69人、50代62人と中高年層が目立ち、未成年も7人いた。男女別では男272人、女110人。

 県は10年9月に岡山市に「県自殺予防情報センター」を開設し相談体制の充実を図る一方、11年11月には自殺対策基本計画を策定。地域や職場で発せられる自殺のサイン(予兆)にいち早く気付き、専門相談機関へつなぐ「ゲートキーパー」の育成を強化しており、講習会などに市民ら1200人以上が参加したという。

 県警生活安全企画課は、400人を下回ったことについて「さまざまな対策が講じられていることに加え、ここ数年景気が上向いたためでは」と分析している。

 自殺予防の相談を受ける岡山いのちの電話協会・草苅祐子事務局長は「病気や失業などで将来を不安に感じ、生きる気力をなくしている人が多い」として積極利用を呼び掛ける。相談電話は086―245―4343。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年05月03日 更新)

タグ: 精神疾患

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