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動脈硬化の早期診断法開発 岡山大大学院の松浦教授ら

松浦栄次教授

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の松浦栄次教授(免疫・代謝学)らは、放射性の銅同位体と陽電子放射断層撮影装置(PET)を用いた動脈硬化の新たな診断法を開発し、動物実験で有効性を確認した。同疾患の早期発見につながる成果という。

 銅同位体は一方で、放射線で体内の細胞を壊すβ(ベータ)マイナス線を放出し、投与リスクが高いという。松浦教授らはβマイナス線を出さず、より安全なジルコニウム同位体に置き換える研究を進めており、「速やかに臨床応用できるよう努めたい」としている。

 動脈硬化は、白血球の一種「酸化LDL(悪玉)コレステロール」を取り込んだ血管が内部で炎症を起こすなどして発症する。放置すると心筋梗塞や脳梗塞につながるため、早期診断が重要。現在はコンピューター断層撮影装置(CT)などを用い、血管の狭窄(きょうさく)状況を検査、診断している。

 松浦教授らは、酸化LDLが体内で生成された際にできる抗体に着目した。マウスから取り出した抗体を特殊操作し、銅同位体と結合させた試薬を作製。同疾患を呈したウサギに投与してPETで撮影したところ、患部の特定に成功したという。

 教授らのグループは、患者の微量の血液から今回の抗体を測定し、動脈硬化の有無を判定するキットも開発、近く欧米で販売を開始する。検査でハイリスクとされた患者をPETで確定診断することを目指している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年05月08日 更新)

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