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5年でメガホスピタル体制構築 岡山大病院、臨床研究や治験主導

 「岡山発」の医薬品や医療機器を生み出す拠点として、中四国地方で唯一の「臨床研究中核病院」に決まった岡山大病院(岡山市北区鹿田町)。関連83病院と連携し、今後5年間で約3万3千床を備えた「メガホスピタル(巨大病院)」体制を構築する。厚生労働省によると「国内有数の規模」で、そのスケールメリットを生かし、がんをはじめ難病や希少疾患に対する新たな治療法、薬剤の研究・開発に取り組む。

 計画では、岡山済生会総合病院(岡山市)、広島市民病院(広島市)、香川県立中央病院(高松市)など徳島県を除く中四国地方と、兵庫県にある200床以上の関連病院で「中央西日本臨床研究コンソーシアム」を結成。岡山大病院の院内組織「新医療研究開発センター」が中心となり、治療法の安全性と有効性を確かめる臨床研究、保険適用に向けた最終段階の治験を実施する。

 具体的には、白血病などで造血幹細胞移植を受けた患者の半数が発症する、慢性合併症・移植片対宿主病(GVHD)の新治療法の医師主導治験を近く実施する。対象患者がいる関連病院に協力を依頼し、岡山大病院医師ら責任者が決めた手順に沿って治験に参加してもらう。

 岡山大は、臨床研究中核病院に選定された本年度以降、5年間にわたって厚生労働省から整備・研究費(初年度約5億円)を受けて基盤を整える。手術室20室などを備えた総合診療棟の西側に新施設(地上6階地下1階)を2016年度末までに建設し、1フロア(2千平方メートル以上)を新医療研究開発センターの拠点とする。

 人材面では、新薬などの承認を担う独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(東京)との連携を強化。人的交流で機構に派遣した医師らの知識も生かし、薬事承認のスピードアップを図る。

 18年度以降は民間財団や製薬会社の助成などで自立運営を目指しており、槇野博史病院長は「国際水準の質の高い臨床研究や治験を可能とする体制づくりを急ぎ、成果をできるだけ早く社会に還元したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年05月10日 更新)

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