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3次元画像活用し治療 岡山大病院、複数穴の心房中隔欠損症

最新技術で加工した3次元画像。中央の黒い部分が心臓の壁にあいた3個の穴(岡山大病院提供)

 心臓の壁に穴がある心房中隔欠損症のうち、穴が複数の患者では難しいとされてきたカテーテル(細い管)による新しい治療法を、岡山大病院のグループが確立した。患部を3次元画像で表示する最新技術を活用し、開胸手術よりも患者の身体的な負担を減らせるのが特長で、同大病院は「国内では初の取り組み」としている。

 動悸(どうき)や息切れを発症し、重症なら死に至る心房中隔欠損症は、1500人に1人といわれる先天性心疾患。開胸手術に加え、体外から行う超音波(エコー)画像を見ながらカテーテルを太ももから心臓まで挿入し、閉鎖栓でふたをする治療がある。穴が複数の場合、それぞれの位置関係を正確に把握できず、開胸手術になるケースが多いという。

 同大病院循環器疾患集中治療部の赤木禎治准教授と谷口学医師らは、口から差し込み、体内から映す特殊なエコーカメラを活用。その画像を専用ソフトで加工し、穴の位置関係を詳細につかめる鮮明な3次元画像を作り出した。

 この画像を使った新たなカテーテル治療は2010年以降、穴が複数ある患者27人(6〜83歳)のうち、穴が大きく開胸手術になった1人を除き、いずれも成功したという。保険適用され、治療の平均時間は約2時間。成果は米関連学会誌で発表した。

 赤木准教授は「医師らスタッフの能力を向上させ、さらに安全で確実な医療の提供に努めたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年05月31日 更新)

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