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「アナフィラキシーの恐れ」倍増 県内公立校児童生徒、119人

アレルギー対策で、本人が除去食を受け取ったか表で確認している赤磐市立山陽小

 県内の公立小中高校で、生命の危険を伴う重度のアレルギー反応「アナフィラキシーショック」の恐れがある児童生徒が、3月現在で119人に上ることが県教委の調査で分かった。前回調査(2011年12月)の63人から2倍近くに急増。昨年12月には東京で給食を食べた女児が発症して死亡する事故も起きており、県教委は各校に対応の徹底を指示した。

 アナフィラキシーは食物や薬物のアレルギー反応で、急激な血圧低下や意識障害が起きる危険もある。調査では、発症に備えて症状を緩和する自己注射薬が処方されている児童生徒数を調べた。

 該当したのは小学生69人、中学生31人、高校生19人。校種別の内訳は初めて集計したため比較はできないが、該当の児童生徒がいる市町村数は前回の14から19に増えた。

 県教委保健体育課は急増について「アナフィラキシーの危険性に対する認識が高まり、万一に備えて処方を受ける子どもが増えているためではないか」とみている。

 調査では、12年度中に県北の中学生1人が症状を訴え、学校で注射薬を使ったことも判明。校内での使用は県内では10年度以来となったが、生徒は重篤な症状には至らなかったという。

 県教委によると、対象となる児童生徒の在籍校では、給食から原因食材を除いたり、教員が注射薬の打ち方を学ぶなど対応を進めている。ただ、東京で女児が死亡したケースでは、担任が誤って食べさせてはならない食品を渡したのが原因とされており、同課は「岡山でも一層の注意を払う必要がある」としている。

 県教委は今年3月、各市町村教委と県立学校にアレルギー対応の再確認を求めるよう通知。10月には専門の研修会を開く予定にしている。

原因食材除去、別献立…対策図る学校や調理場

 県内の学校や共同給食調理場は、給食から食物アレルギーの原因となる卵や小麦、ソバといった食材を抜いたり、他の子どもとは別の献立を用意するなど対策を強化している。

 県教委によると、2012年度に給食で食物アレルギーに対応した公立小中学校は、県全体の77%に当たる436校。対象となった児童生徒は3142人で、県内の全在籍数の2%に上った。

 対応方法は、アレルギーの原因食材を抜く除去食が最多の1391人。次いで牛乳中止892人、代替食720人、給食を出さず弁当を持って来てもらう78人―など。これらの複数を組み合わせた措置が必要な児童生徒もいた。

 除去食の調理は、専用の器具を使ったり工程を分けるなど、原因食材が混入しないよう細心の注意が必要という。チーズ抜きのシチューを作る際は粉チーズを入れる前に別の容器に取り分け、牛乳抜きの蒸しパンの調理では牛乳が入る前の生地で先に焼き上げる。

 調理場から給食を受け取る学校側も、除去食を専用のバッグに入れて運び、本人が受け取ったかどうかをチェックするなど、給食が混同しないように気を配っている。

 赤磐市立中央学校給食センターでは毎月、対象の児童生徒の家族と面談して1カ月分の献立と成分表を確認するといい、「一人一人によって原因食材や危険度のレベルが違う。保護者と協力して注意したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年06月01日 更新)

タグ: 子供

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