文字 

災害に備え井戸設置 断水時に開放 岡山県精神科医療センター

大災害に伴う断水に備えて設置された岡山県精神科医療センターの井戸

 南海トラフ地震など大規模災害に伴う断水に備え、岡山県精神科医療センター(岡山市北区鹿田本町)は地下水をくみ上げる井戸を敷地内に設置した。飲料水を除く生活用水として利用でき、有事には入院患者のほか、地域住民に開放する。

 東日本大震災では水道管の破損により各地で水の供給がストップ。宮城県南三陸町や福島県南相馬市に派遣した同センター医師からは「トイレや寝たきりの高齢者の体を拭く水に困った」との報告が寄せられ、2012年12月、約200万円かけて掘削した。

 井戸は4、8、20メートルの3本のパイプを地中に打ち込み、4、8メートルは手動ポンプで、20メートルは電動ポンプでくみ上げる。鉄分が多いため飲用には向かないが、洗濯や食器の洗浄、風呂、トイレへの使用には支障ないという。

 同センターは12年8月、災害時に病院施設を一時避難所として提供する協定を地元7町内会(約1800世帯)と締結。鹿田学区連合町内会長の目黒宏平会長(71)は「災害を意識した備えのある病院が身近にあり、大変心強い」と話す。

 南海トラフ地震では岡山市など県南部を中心に広範囲で地盤の液状化現象が発生するとされる。内閣府が3月公表した被害想定によると、県内では給水人口の70%に当たる約130万人が断水に見舞われるという。

 同センターは井戸水を定期的にくみ上げ、水質などをチェックする。赤木一成常務理事(62)は「食料の備蓄も続け、有事は患者だけでなく地域住民の救済拠点として機能させたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年07月07日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ