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マダニ感染症で女性死亡 岡山県内初確認、井笠管内

重症熱性血小板減少症候群を媒介するとされるマダニ(岡山県環境保健センター提供)

 岡山県は12日、備中保健所井笠支所管内の80代女性が、7月上旬にマダニが媒介するウイルス性感染症「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)を発症して死亡したと発表した。県内でのSFTS感染確認は初めてで、国内での死者は13人目。

 県健康推進課によると、女性は1日に食欲不振や歩行困難を訴え、経過観察のため入院。症状が悪化し2日後に倉敷市内の病院へ転院し、その後死亡した。39度台の高熱や血小板減少などが見られ、左足くるぶしの内側にマダニにかまれたとみられる痕が1カ所あったことから、病院が8日に倉敷市保健所を通じ県に報告した。

 県環境保健センター(岡山市南区内尾)の検査で女性の血液からSFTSの陽性反応が出たため、国立感染症研究所(東京)に詳細な検査を依頼。同研究所が11日、SFTSウイルスと遺伝子配列が一致したとして感染を確認した。

 県健康推進課によると、女性は最近1カ月間で海外渡航歴はなく、遠出もしていない。発症の時期から6月下旬ごろ、自宅周辺の屋外でかまれ、感染したとみられる。県は感染の経緯を調べているが、一人暮らしのため詳しい状況は分かっていないという。

 SFTSは野山に生息するマダニから感染。有効なワクチンや治療方法がなく重症化しやすい。山口県で1月、国内で初確認されて以降、岡山を含め西日本の11県で27人の感染が確認されている。

 岡山県は今回の事態を受け、県民向けの啓発ちらし5万部を作製。来週にも市町村などを通じて配布する。

 県健康推進課は「夏から秋にかけて行楽などで野山に入る機会が増え、マダニの活動も活発化する。長袖、長ズボンを着用して肌の露出を避けるなど予防方法を周知していきたい」としている。

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 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) ウイルス性感染症の一種で、マダニが媒介。38度以上の発熱や嘔吐(おうと)、筋肉痛、意識障害、血小板減少などの症状がみられる。中国で2009年ごろから発生が報告され始めた。かまれて6日〜2週間で発症。患者の血液に接触して感染する例もある。厚生労働省は2月、日本脳炎や狂犬病などと同じく国民の健康に影響を与える恐れがあるとして、感染症法に基づき報告義務対象に指定した。マダニは体長3〜4ミリで、長ければ1週間程度血を吸い続ける。室内に生息するイエダニ(0・5〜1ミリ)とは異なる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年07月12日 更新)

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