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コース別デイケア開始 早期復帰へ県精神科医療センター

デイケアプログラムの疾病理解コースで、写真を見ながら話し合う患者ら=岡山県精神科医療センター

 岡山県精神科医療センター(岡山市北区鹿田本町)は、患者の早期の社会復帰を目的としたデイケアプログラムを始めた。同センターは入院期間の短縮化を図っているが、退院後のデイケア利用が長期化しているのが課題だった。プログラムは病気と上手に付き合う方法の習得や、就労準備などコース別にしたのが特長。期間も最長1年とし、職場や学校などでの元の生活に早く戻れるよう後押しする。

 精神疾患は症状に波があり、退院後も社会生活に支障を来すことが少なくない。デイケアは体を動かしたり、心理教育を受けるなど、リハビリをして社会になじめるようにするのが役割だが、実際には利用が長期化しがちという。

 精神科は平均在院日数が300日とも言われるが、同センターは約60日。しかし、デイケアは5年以上の利用者が85人と全体の4割強で、新規受け入れも滞っていた。このため長期利用者は近くに開設した診療所に移ってもらい、4月から短期利用者を対象に「通過型」デイケアをスタートさせた。スタッフは医師、作業療法士、臨床心理士ら6人。

 「疾病理解」「就労準備」「生活安定」の3コースを用意し、本人の希望や状態に応じて決める。疾病理解では服薬管理を学んだり、絵や写真を見て感じることをグループで話し合い、「こだわりやすい」「マイナス思考」など自分の考え方の“特徴”に気付いてもらう。就労準備はコミュニケーション能力を高め、生活安定は仲間づくりや外出などを通して乱れがちな生活リズムを整える。

 現在、約50人が利用。疾病理解コースを選択している男性(38)=岡山市=は「自分の考え方だけでなく周りの考えも理解できるのがありがたい。早く仕事ができるようになりたい」と話す。

 プログラムは退院前の患者や、入院を防ぐ効果も見込んで外来患者にも提供。家族に病気への理解を深めてもらう講座も開いている。担当の佐藤康治郎医師は「就業など明確な目的を持つことで、患者は途中でやめずに継続して来ている。自らの夢を諦めることなく、実現できるデイケアにしたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年07月14日 更新)

タグ: 健康

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