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終末在宅医療へ診療所連携 岡山・中区の開業医3人

在宅でのみとりを支えるため「操山グループ」として連携に乗り出した(左から)氏平、福岡、畑の各医師

 在宅医療を支えるために診療所同士が独自に手を携える“診診連携”のグループが、岡山市中区に誕生した。メンバーは開業医3人。「住み慣れた自宅で最期を迎えたい」と望む患者の情報を共有。緊急時に主治医が不在でもカバーし合い、在宅での「みとり」に寄り添う。

 いずれも、内科診療所を開業している福岡英明(71)=中区高島新屋敷▽氏平徹(56)=同古京町▽畑貴子(35)=同原尾島=の各医師。加盟する市医師会の地区割に従って「操山グループ」を名乗る。

 3人を引き合わせたのは、市が2012年度に実施した訪問診療・往診医の育成事業。40年近い経験を持つ福岡医師が指導係として氏平、畑医師にノウハウを伝授した。互いの診療所が車で10分程度と近いこともあって、自然発生的にグループ化が持ち上がった。

 グループは、病状や病歴、服用薬といった患者情報を共有するオンラインシステムを6月に構築。現在は患者の承諾を得た上で入力作業を進めており、順次、在宅医療を望む患者の思いに応えていく。

 点滴や床ずれの手当てなどをする訪問看護師、日常のケアを担う訪問介護士らとの連携もさらに密にする考え。取り組みを知った近隣の開業医から加入の申し出もあるという。

 在宅医療をめぐっては、市が12年に行った市民の意識調査で43・8%が自宅で終末期を迎えたいと希望。だが実際は医療機関で亡くなったケースが78・3%(10年)を占めた。

 ギャップを埋めるためには、患者の症状が急変した際の連絡に、常時備える医師の負担解消が課題。国は近年、医療費抑制のため病院から在宅へのシフトを進めており、診療報酬の加算などで診療所連携を後押ししている。

 市内では北区の3診療所が1990年代半ばから「清輝橋グループ」として連携、先駆的な取り組みが全国的に知られている。しかし、医療関係者によると、近隣の開業医は競合関係になりやすく、グループとして常時協力するケースは岡山県内でもわずかだという。

 操山グループの福岡医師は「急変時の不安や家族への負担感から、在宅を望みつつも二の足を踏む患者はまだ多い。満足いく終末期を迎えてもらうには医師の連携が不可欠で、在宅医療の裾野を広げるため着実に成果を積み重ねたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年07月14日 更新)

タグ: 介護高齢者

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