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マダニ感染症の対策学ぶ 岡山で医療関係者向け研修

SFTSの新たな感染に備えるため、岡山県と県医師会が開いた医療関係者向けの研修会

 岡山県内で7月、マダニが媒介する「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)の感染が初確認されたことを受け、県と県医師会は4日、岡山市北区奉還町の岡山国際交流センターで医療関係者向けの研修会を開いた。有効な治療法がないとされ、県内の感染者2人のうち1人は死亡。新たな感染に備えようと、医師や看護師ら約150人が参加した。

 国立感染症研究所(東京)の西條政幸ウイルス第1部長と徳島県医師会感染症対策委員長の馬原文彦医師に加え、県備中保健所井笠支所管内と岡山市内の80代女性患者を診た医師2人が報告した。

 西條部長はSFTSの症状として38度以上の発熱、嘔吐(おうと)や下痢などの消化器症状、血小板減少などを挙げる一方、「現段階では対症療法しかなく、感染リスクを減らす対策が重要」と指摘。「中国では院内感染の報告もある。患者との接触予防を徹底してほしい」と注意を促した。

 馬原医師は早期に医療機関にかかる必要性を強調。マダニにかまれたことに気付いたら朝夕熱を測ることが大切とし、「点滴など患者の免疫力を高めるだけでも重症化を防げることがある」とした。

 臨床現場で異常に早く気付く難しさを挙げる声も。岡山市内の患者を診察した医師は「畑仕事を日課にしていると聞き、マダニの感染症を疑った」とする一方、井笠支所管内の死亡した患者を診た医師は「検査で目立った所見が見あたらず、突然症状が悪化した」と証言。「特異的な症状が少ない中、簡便な診断法と有効な治療法の確立が必要」などと話した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年08月05日 更新)

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