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「アドボケーター」の有効性確認 岡山県精神保健福祉協会がモデル事業

「アドボケーター」の研修会で精神科の医師やケースワーカーらから話を聞く参加者

 岡山県精神保健福祉協会(岡山市中区古京町、藤田健三会長)は8月下旬から、精神障がい者の代弁者となる「アドボケーター」の有効性を確かめるモデル事業に乗り出す。公募したアドボケーターを県内の精神科病院の入院患者の元に約半年間派遣し、役割や効果、患者の反応などを年度内にとりまとめる。全国初の試みで、各都道府県への普及を図るとともに、国の法制化も働きかける。

 アドボケーターは高齢者や障がい者らの権利擁護や気持ちなどを支援・代弁する人のことで、欧米で取り入れられている。

 岡山でのモデル事業は、公募の医師や看護師ら医療従事者、弁護士、行政書士、家族会、患者、ボランティアら58人がアドボケーターに登録。協力してもらえる精神科病院に2人一組で派遣し患者から30分程度、要望や気持ちなどを聞く。毎週1回、約半年間続け、その都度面会の様子や会話の内容などを同協会に報告する。

 県精神保健福祉士協会、岡山高齢者・障害者支援ネットワーク、おかやま入居支援センター、岡山マインド「こころ」の4団体も事業に協力。すでに2日間の養成研修を実施。精神保健医療の現状や入院患者の推移、アドボケーターの仕事などについて学ぶとともに、精神科医やケースワーカー、家族会代表、患者それぞれの立場から現況などを聞いた。

 モデル事業実行委員の井上雅雄弁護士(岡山弁護士会)は「アドボケーターは常に患者の立場で気持ちや状況を理解し、各相談窓口に適切につなぐことが望まれる」とし、有効性を実証するとともに運用面で“岡山モデル”を確立したいとしている。

 藤田会長は「諸外国では効果が報告されている。患者の孤立感を和らげるとともに、長期入院者は地域に戻りたいとのモチベーションを高められる。さらに病棟にアドボケーターが出入りすることで、他の患者の意識変化など『新しい風』を吹き込むこともできる」と効果を期待する。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年08月14日 更新)

タグ: 精神疾患

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