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ダウン症児ら支え15周年  日本協会岡山支部

発足15周年を迎え、思いを語る上地代表

日本ダウン症協会岡山支部の発足15周年の記念大会で、揮毫を披露する書家の金沢さん(左)

 ダウン症の子どもと家族らを支援する日本ダウン症協会の岡山支部(岡山市)が発足15周年を迎えた。交流活動や育児相談に地道に取り組み、会員数は当初の約5倍に拡大。胎児の染色体異常を妊婦の血液で調べる新出生前診断が注目を集める中、同支部は「支援があれば、ダウン症でも安心して子どもを産み育てることができることを広く訴えていきたい」としている。

 7月中旬、岡山市内で開かれた15周年記念大会。ゲストで招かれたダウン症の書家・金沢翔子さん(28)=東京=がステージ上で「慈愛」の文字を力強く揮毫(きごう)、会場の会員ら約100人から大きな拍手が湧き起こった。

 ダウン症は、染色体の異常で起きる先天性の病気。筋力が弱く、心臓疾患や知的、発達障害を伴うことが多いとされる。揮毫を舞台の袖から見守っていた同支部の上地玲子代表(46)は「彼女は立派に活躍できると証明してくれた。会員にとっても頼もしい」と目を細めた。

 支部は1998年7月、保護者25人が設立。月数回、医師を招いた勉強会を企画したり、先輩会員が出産前後の母親を訪問し育児相談に乗るなどしてきた。2009年からは、身体機能の向上に効果があるとされる体操教室を開催。12年には、上地代表が筋力不足で姿勢の維持が難しいダウン症児向けの学習机の開発にも携わった。

 地道な活動が口コミで広がり、会員数は現在約130人。発足当初からの会員女性(45)は「親族にすら自分の子どものことを言い出せない空気があり苦しかった。しかし、多様な支援や交流会での他の子どもたちの元気な姿が励みとなり、子育てに前向きになれた」という。

 一方、新しい出生前診断は、胎児の障害が発覚した時点で中絶する「命の選別」につながるとの懸念もある。上地代表は「望んで授かった命のはず。産む産まないは親の判断だが、安易な出産見送りには賛同できない」と話す。

 こうした状況も踏まえ、ダウン症について県民に広く知らせていくことが今後の課題という。同支部は「会員制交流サイト(SNS)による若者向けの情報発信も検討している。さらに育児環境を整えるため、サポートを充実させていきたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年08月20日 更新)

タグ: 子供

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