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サルナシが大腸の前がん病変抑制 岡山大大学院有元准教授が確認

有元佐賀恵准教授

新庄村のサルナシ畑。新たな商品化に向けて準備が進んでいる

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の有元佐賀恵准教授(遺伝毒性学)は、サルナシの果汁に大腸がんの前段階である「前がん病変」の発症を抑える効果があることを、ラットによる実験で確認した。有元准教授は昨年、果汁には皮膚がんを抑止する働きもあることを突き止めて公表。特産化に取り組む岡山県新庄村は、こうした成果を背景に「サルナシ酢」など新たな商品化への準備を進めている。

 サルナシはキウイの原種とされ、果実は直径2〜3センチの緑色。県内唯一の産地という新庄村は「ビタミンCが豊富で滋養強壮によい」などとして、約1ヘクタールある栽培面積の拡大を図っている。

 実験では、発がん性物質を皮下注射した12匹のラットのうち半分に水道水、もう半分にサルナシ果汁を飲ませながら飼育した。5週間後に解剖して大腸の前がん病変を調べたところ、水道水グループは平均約150個見つかったのに対し、サルナシグループは平均約40個にとどまった。

 新庄村は健康への好影響をアピールする狙いで2010年、有元准教授に成分研究を依頼した。これまでの研究によると、皮膚がんの抑止をはじめ、老化の原因とされる遺伝子の酸化を防ぐ抗酸化作用や、炎症の予防効果もみられた。有元准教授は「大腸がんは今後も増加が予想されている。有効成分の特定など研究をさらに進めたい」と言う。

 サルナシは現在、リキュールやジャムに加工したり一部を生食用に販売。生産者でつくる栽培研究会は9月からの収穫に向け、サルナシ酢の試作品作りの準備を進めている。建部始正会長は「待っていた研究成果がようやく現れてきた。栽培面積も昨年より1割程度増えている。商品の品ぞろえを充実させ、産地のブランド化も図りたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年08月25日 更新)

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