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母乳育児、子の肥満リスク低減効果 岡山大大学院環境生命科学研究科

頼藤貴志准教授

山川路代非常勤研究員

 岡山大大学院環境生命科学研究科の頼藤貴志准教授(人間生態学)と山川路代非常勤研究員(同)らのグループは国のデータを解析し、母乳だけで育児した場合、粉ミルクだけで育てるより、7歳の時点で肥満になるリスクが低いとする研究結果をまとめた。世界的には欧米での臨床実験などを踏まえ、母乳による肥満抑制の効果はないとする説が主流だったが、覆す結論となった。

 国が2001年1、7月に生まれた子ども4万3367人について8歳まで追跡調査したデータを利用。7歳時と8歳時の体重、身長から割り出した体格指数(BMI)を分析し、それぞれ標準体重と比較して肥満などのリスクを算出した。

 7歳時の場合、生後6~7カ月までの授乳方法を(1)母乳だけ(2)粉ミルクだけ(3)混合―の群に分けて比較したところ、(1)群の肥満(BMIが男20・63以上、女20・51以上)となるリスクは(2)群より45%低かった。また過体重(男17・92以上、女17・75以上)のリスクは15%低かった。

 一方、(2)群の子どもたちは(3)群より肥満や過体重となるリスクは高かった。8歳時も肥満、過体重ともに同様の結果になった。

 母乳育児は母親の免疫が子どもに与えられるため、乳児期の呼吸器感染症や下痢を防ぐとして注目され、世界保健機関(WHO)なども推奨。頼藤准教授は「母乳の成分を分析して肥満を抑制する仕組みを解明するとともに、母乳育児を提言していきたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年10月04日 更新)

タグ: 子供

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