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神谷さん生誕100年で特別展 長島愛生園初の精神科医

神谷美恵子さん

 瀬戸内市の国立ハンセン病療養所・長島愛生園で初の精神科医として入所者に寄り添った神谷美恵子さん(1914〜79年)が来年、生誕100年を迎えるのに合わせ、敷地内にある同園歴史館は4日から記念の特別展を開く。来年1月には岡山市で講演会も開く計画で、「精神科医療が不毛だったハンセン病に新たな光を当てた功績や人柄を紹介したい」としている。

 神谷さんは岡山市生まれ。57年から約15年間、愛生園に通い、隔離生活の中で過酷な環境に置かれた精神疾患の患者らに献身的に尽くした。西洋哲学思想や文学にも造詣が深く、入所者らとの交流を基に著した「生きがいについて」など著作も多数ある。

 特別展は神谷さんの直筆の手紙やカルテ、著作など約30点を展示。愛生園の詩の会から本を贈られた際の丁寧な礼状や、目の不自由な人たちのハーモニカバンド「青い鳥楽団」に贈ったコントラバス、入所者が神谷さんについてつづった著作の抜粋などを並べる。

 1月11日には、岡山市北区丸の内の岡山市民会館で講演会「神谷美恵子生誕100年 記念の集い」を開催。ハンセン病患者の支援に長年携わっている日野原重明・聖路加国際メディカルセンター理事長の講演、神谷さんの次男・徹さんと入所者の石田雅男さんらによる鼎(てい)談もある。

 特別展は来年末まで開催予定。歴史館の田村朋久学芸員は「病気への偏見が厳しかった時代に神谷さんは入所者と分け隔てなく接し、そこから生きがいとは何かを突き詰めて考えた。その思想は現代の私たちにも通じるはず」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年12月02日 更新)

タグ: 精神疾患

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