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岡山大、脳死肺移植50例 国内2番目、法改正後ドナー急増

50例目となった岡山大病院の脳死肺移植手術=9日午前10時50分(岡山大病院提供)

 岡山大病院(岡山市北区)で9日午前に始まった50例目の脳死肺移植は約9時間後、無事成功した。家族承諾で脳死臓器提供を認めるなどした改正臓器移植法の全面施行(2010年7月)から3年半。脳死ドナー(臓器提供者)の急増に伴い、同大病院でも年間10人前後が手術を受けられるなど、移植しか救命の方法がない多くの患者が救われるようになった。

 今回の移植は生体と合わせて120例目。大藤剛宏肺移植チーフを執刀医とし、特発性間質性肺炎の10代女性に行われた。9日午前10時36分に開始され、同日午後7時33分に終了。容体は安定し、早ければ3カ月後にも退院できるという。

 国内での脳死肺移植の50例到達は9日現在で、東北大病院(仙台市、60例)に次ぎ2番目。以下、京都大(41例)大阪大(36例)福岡大(12例)と続く。

 1997年に施行され、意思表示カードの所持といった世界的にも厳しい条件付きで脳死臓器提供を認めた法は、改正で本人が提供を拒否していない限り、家族の承諾があれば可能になった。

 これにより脳死ドナーの数は全国で大幅に増加。改正まで86人にとどまっていたのが、改正後は168人(今月9日まで)に上った。ドナー計254人に対し204人(心肺同時も含む)に移植の機会が訪れた。

 岡山大でも法改正後の手術数は急増した。10年が5例、11年9例、12年11例、13年8例と、今回を含め計34例で、改正までの16例の約2倍の患者が救われた。

 さらに、同大は昨年10月、脳死ドナーの肺を体外の専用装置につないで機能回復させる「体外臓器リカバリーシステム(体外灌流(かんりゅう)技術)」による手術を国内で初めて実施するなど、新しい技術に取り組むことで移植機会の増加を目指している。

 大藤チーフは「ドナーや家族の皆さんの意思を最大限尊重できるよう、今後もチームのスキルをアップさせ、移植が『一般の医療』となるよう全力を尽くす」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年01月10日 更新)

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