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「特区」の介護機器(中) 対話型ロボット「パロ」

アザラシの赤ちゃんの姿をした対話型ロボット。なでたり話し掛けたりすると反応する

 アザラシの赤ちゃんの縫いぐるみ。長いまつげに縁取られた瞳でこちらをじっと見つめる。呼び掛けると、首をかしげて「キュウ」と鳴く。ふわふわの毛に覆われた体を両手で抱けば、人間の体に沿うように頭を近づけ、眠たげにまばたきを繰り返す。

 縫いぐるみは、独立行政法人・産業技術総合研究所(茨城県)が開発した対話型ロボット「パロ」。一緒に過ごすことで心が癒やされ、徘徊(はいかい)や暴力的言動などの症状が改善された例も報告されている。

 体長57センチ、体重2・5キロ。内蔵の集音マイクや光センサーが周囲の人間の居場所を捉えて反応し、首や前足など6カ所を動かすことでリアルなしぐさを可能にした。

 人工知能を搭載。50ほどの言葉を覚え、よく聞く言葉を耳にすると、声のする方を向いたり、鳴き声を上げたりする。何をすれば人間になでてもらえるかも学習する。関わり続けることでパロの行動が変化するため、利用者が「仲良くなれた」と実感できるのが特長だ。

 動物との触れ合いによるアニマルセラピーは、気持ちを明るくする▽血圧や脈拍を安定させる▽動物の存在が共通話題となり、コミュニケーションが活発になる―などの効果が期待されている。しかし、動物アレルギーやかみつきが課題。パロはそうした問題がなく、国内外で約3千体が利用されている。「世界で最もセラピー効果のあるロボット」として、ギネスブックにも認定された。

 貸与料は月額3150円(税込み)。

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 パロの貸し出しは、介護保険で要介護1~5の認定を受け、自宅で生活する市民が対象。メーカー側と直接契約し、最長で2015年3月末まで借りられる。問い合わせは大和リース岡山支店(北区今、245―1391)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年01月11日 更新)

タグ: 介護高齢者

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