島の女性「普段着で検診」 瀬戸内巡る診療船・済生丸に同乗
瀬戸内海の64の島々を巡る国内唯一の診療船「済生丸」が23年ぶりに新造され、笠岡諸島で検診と診療を始めた。島の健康を守り続けて半世紀余り。財政難から存続が一時危ぶまれたが、島民の熱望で4代目は就航した。「また来てな。待っとるで」。期待の言葉を“動力”とする「海を渡る診療所」に21日、同乗した。
笠岡港(笠岡市)から50分。白い船体が人口約500人の白石島の港に横付けした。冷たい風が吹く桟橋。足早に渡ってきた3人の女性は「船の中は暖かいなあ」。この日の予定は乳がんと子宮がん検診。新たに搭載したマンモグラフィー(乳房エックス線撮影装置)を初めて使う日だ。
エレベーターで船底の一室へ。「乳房撮影室」は一般の医療機関と同様に、狭さや圧迫感はない。「マンモグラフィーは他の島か本土の病院へ行くしかなかったから」と女性(61)は穏やかに笑う。
白とピンクを基調にした船内。明るい雰囲気も手伝い、待合室では女性たちの会話が弾む。女性(63)は「普段着でちょっと行ける。それが済生丸のいいところ」。
済生丸は1962年、恩賜財団済生会(東京)が就航させ、2011年度からは岡山、広島、香川、愛媛の4県支部が運営する。初代からの航行距離は地球19周に当たる約77万キロ。診療、検査人数は延べ55万人超だ。医師が常駐しない離島も多く、重視するのは予防医学。13年には船をモデルにしたテレビドラマが放映され、その存在が全国に知れ渡った。
今月15日に診療、検査をスタートさせた4代目は全長33メートル、180トン。医療機器を含め建造費は約6億6千万円。初搭載のデジタル式エックス線撮影装置など最新の医療機器を積む。出動日数は年間220日余りを見込み、毎回、医師1〜2人と看護師ら10人前後のスタッフが乗り組むという。
白石島を出ると大飛島へ。検診を受けたのは13人。「あっという間に終わったわ」「ありがとう」。数々のお礼を背に、船はさらに南下。横揺れがだんだんと大きくなる。外は強い風雨。荒天のため次の六島行きは諦め、引き返すことになった。この日の検診は2島で30人だった。
「自然には勝てないが、島の人が待っている。何とか日程調整しないと」と池田修二医師(58)。船が港に戻るころ、船内では笠岡市役所など関係機関との“電話会議”が終わった。六島の訪問は22日に決まっていた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。
笠岡港(笠岡市)から50分。白い船体が人口約500人の白石島の港に横付けした。冷たい風が吹く桟橋。足早に渡ってきた3人の女性は「船の中は暖かいなあ」。この日の予定は乳がんと子宮がん検診。新たに搭載したマンモグラフィー(乳房エックス線撮影装置)を初めて使う日だ。
エレベーターで船底の一室へ。「乳房撮影室」は一般の医療機関と同様に、狭さや圧迫感はない。「マンモグラフィーは他の島か本土の病院へ行くしかなかったから」と女性(61)は穏やかに笑う。
白とピンクを基調にした船内。明るい雰囲気も手伝い、待合室では女性たちの会話が弾む。女性(63)は「普段着でちょっと行ける。それが済生丸のいいところ」。
済生丸は1962年、恩賜財団済生会(東京)が就航させ、2011年度からは岡山、広島、香川、愛媛の4県支部が運営する。初代からの航行距離は地球19周に当たる約77万キロ。診療、検査人数は延べ55万人超だ。医師が常駐しない離島も多く、重視するのは予防医学。13年には船をモデルにしたテレビドラマが放映され、その存在が全国に知れ渡った。
今月15日に診療、検査をスタートさせた4代目は全長33メートル、180トン。医療機器を含め建造費は約6億6千万円。初搭載のデジタル式エックス線撮影装置など最新の医療機器を積む。出動日数は年間220日余りを見込み、毎回、医師1〜2人と看護師ら10人前後のスタッフが乗り組むという。
白石島を出ると大飛島へ。検診を受けたのは13人。「あっという間に終わったわ」「ありがとう」。数々のお礼を背に、船はさらに南下。横揺れがだんだんと大きくなる。外は強い風雨。荒天のため次の六島行きは諦め、引き返すことになった。この日の検診は2島で30人だった。
「自然には勝てないが、島の人が待っている。何とか日程調整しないと」と池田修二医師(58)。船が港に戻るころ、船内では笠岡市役所など関係機関との“電話会議”が終わった。六島の訪問は22日に決まっていた。
(2014年01月22日 更新)