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優勝で星野監督に恩返しを 旭川療育園の高橋君

グローブにメッセージを書き込む高橋君

 背番号77。肢体不自由児の施設「旭川療育園」(岡山市北区祇園)に入所する高橋未岬君(16)は、野球に似た競技ティーボールのチーム「療育園フェニックス」で、憧れのプロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルス監督の星野仙一さん=倉敷市出身=と同じ番号を背負い、その名を冠した大会での優勝を目指して練習に励む。

 両脚のアキレスけんが短く、爪先立ちでしか歩けない「尖足(せんそく)」。運動好きで、小学校6年間は子ども会でソフトボールに取り組んだが、中学生になると体が成長し、痛みで10分程度しか立っていられなくなり、長時間の移動は車いすが必要に。スポーツは諦めるしかなかった。

 医師の勧めで同園に入所し、手術を受け、リハビリをしていた2012年夏、ティーボールと出合った。本塁上のティーに置かれた球を打つゲームで、試しに車いすに乗ったままバットを振った。軟らかい球はあまり飛ばずスイングに力は入らなかったが、「これ面白い」。夢中になれるものが見つかった。

 同年秋にチームに加わったが、背番号を決めかねていたとき、恒例の慰問に訪れた星野さんがみんなの前で宣言した。「来年は絶対優勝します」。堂々とした姿に感動し、77と決めた。

 そして、13年11月3日、楽天は初の日本一に輝き、胴上げで背番号77が宙を舞った。翌4日、星野仙一杯を懸け中四国5チームが競うティーボール大会が岡山市内で開かれ、レフトを守るフェニックスの「77」は3本塁打と気を吐き、準優勝に貢献。自分は変わったと実感した。

 6日、星野さんが慰問に来る。チームから楽天優勝のお祝いに白いグローブを贈ることにしており、恩返しの意味を込めて書き込んだ。「今年は絶対優勝します」
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年03月02日 更新)

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