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スプリンクラー設置へ補助活用を 有床診療所に県が呼び掛け

福岡市の整形外科医院の火災を受け、防火設備の点検をする岡山市消防局職員=2013年10月、岡山市内の診療所

 昨年10月に福岡市の整形外科医院(有床診療所)で高齢者10人が死亡した火災を受け、延べ床面積6000平方メートル未満の有床診療所へのスプリンクラー設置義務の拡大が検討されているが、岡山県内で該当する施設のうち98%は未設置であることが県消防保安課のまとめで分かった。多額の設置費用がネックになっているとみられ、県は、国が新設した補助制度の活用などを呼び掛けて設置を促進する。

 昨年10月の消防庁の調査では、全国7744の有床診療所のうち消防法に基づきスプリンクラー設置義務がある6千平方メートル以上の施設はわずか84施設。大半が対象外で、福岡市の医院も設置義務がなかった。

 今回の調査は、県内14の消防局・本部が12月中旬、6千平方メートル未満の有床診療所127施設にアンケートなどを実施し、県消防保安課が集計した。スプリンクラー設置済みは2施設だった。

 「全国有床診療所連絡協議会」の井戸俊夫副会長(岡山市)は「どの診療所も経営が厳しく手いっぱい。危機感はあるが、設置が後回しになっている」と説明する。

 こうした現状を踏まえ、国は、病院と同じように3千平方メートル以上の有床診療所に義務付けることを検討している。一方、今月から、6千平方メートル未満の有床診療所と3千平方メートル未満の病院を対象に、スプリンクラー設置に対する補助制度を導入。設置費用の半額相当(1平方メートル当たり1万7千円)を助成する。

 設置費用は1千万〜3千万円程度とされ、半額補助でも各施設の自己負担は重いが、県医療推進課は「特に夜間は職員が少ないだけに、スプリンクラーによる初期消火の効果は大きい。各消防局・本部を通じて粘り強く設置を働き掛けたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年03月20日 更新)

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