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本人の希望反映し医療支援 邑久光明園がチームケア

 瀬戸内市の国立ハンセン病療養所・邑久光明園は本年度から、医療、看護など多職種のチームで入所者を支える「エンド・オブ・ライフサポート」をスタートさせた。終末期医療や生活支援に本人の希望をしっかりと反映させ、いつまでも「自分らしさ」を保ってもらうのが目的。高齢化などで入所者同士による支え合いが難しくなる中、取り組みを全国の療養所でも広げたい考えだ。

 光明園では、入所者の多くが家族と離れ離れ。病気や加齢で自ら意思決定できなくなった場合、本人に親しい入所者が「世話人」となり治療方針の決定などに関わってきた。一方で入所者は現在、146人と10年前の半数近くに減少。平均年齢も84・2歳となり、世話人の維持、確保が困難になりつつある。

 同園によると、チームは医師、看護師、介護員、理学療法士らで編成。今月から専任看護師を1人配置しており、担当の医療ソーシャルワーカーと2人で運営の中心を担う。

 具体的な活動は、入所者やその身近な人からこれまで歩んできた歴史や人生観、将来への希望などを丁寧に聞き取ってケアプランを作成。本人の意思に沿わない医療や介護が行われた場合、迅速に介入し、担当職員らに改善を促す。

 同園には、入所者の人権を守るために外部の有識者も交えた人権擁護委員会が既にある。入所者の権利を守ってきた自治会も高齢化が進んでおり、「チーム、委員会の両輪で入所者の権利擁護や生活保障を支えていく」という。

 4日にはチームの責任者となる青木美憲副園長が、東京で開かれた全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)の定期支部長会議で取り組みを報告。全療協も賛意を示し、各療養所や厚生労働省に必要な支援を求めることとした。

 青木副園長は「入所者にとって療養所は医療、生活の両方を兼ねた場。最後まで自分らしく生きられるよう、園内の体制を整えたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年04月10日 更新)

タグ: 介護福祉

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