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院長メッセ―ジ一冊に 岡山ろうさい病院退任の清水さん

地域医療への思いなどをつづった著書を手にする清水元院長

 岡山ろうさい病院(岡山市南区築港緑町)の院長を6年間務め、今春退任した清水信義さん(73)が病院ホームページに掲載していた院長メッセージなどをまとめ、著書として出版した。地域医療の在り方や医療現場が抱える課題を取り上げたほか、国内初の生体肺移植を成功させた岡山大病院時代を含め、自らの取り組みや思い、提言をつづっている。

 書名は、近隣の児島湖一帯に河津桜を植栽する花回廊プロジェクトにちなみ「岡山花回廊病院 こころ豊かな医療をめざして」。2008年4月、岡山大副学長から岡山ろうさい病院長に着任し、同8月以降ほぼ2週間に1回のペースで執筆した102編から選んだメッセージと、新たに執筆したものを加えた計67編を「医療サービスの向上」「医療をめぐる環境の変化」など13の章にまとめた。

 3章「幅広い病院の役割」では、へき地医療の縮小、診療科による医師の偏在といった医療現場の課題を挙げ「(県北では)急速な医師不足により今後の救急医療が危ぶまれている」と、岡山県南の病院からの医師派遣など病院間連携の必要性を強調。近隣の診療所を訪れた際のことに触れ、「高齢患者は都市部の病院に一人で行くのは難しく、慢性疾患は診療所が頼り。地域医療をきめ細かく見守っている」と指摘した。

 岡山大病院の教授だった1998年に手掛けた国内初の生体肺移植は「病院の全機能を挙げた協力をいただいた」と振り返り、「移植の成功により、社会の臓器移植への関心が高まった」とその意義を強調した。

 四六判、186ページで1300円(税別)。ふくろう出版。県内の主な書店などで販売している。清水元院長は「地域医療の在り方など私が感じたままを書いた。関心がある人はぜひ手に取ってほしい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年05月12日 更新)

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