文字 

NICU、小児科病棟に23人長期入院 旭川荘の県内病院アンケート

 小さく生まれたり、重い病気で岡山県内の病院の新生児集中治療室(NICU)と小児科病棟に6カ月以上、長期入院している子どもは昨年8月時点で23人に上るという調査結果が社会福祉法人旭川荘(岡山市北区祇園)の病院へのアンケートでまとまった。4割のケースは退院できない理由に家庭の受け入れ困難を挙げており、在宅療養への移行には保護者の不安が強いことをうかがわせている。

 長期入院は特にNICUの病床不足の一因とされ、厚生労働省は2013年度、こうした子どもが安心して在宅で療養できる体制づくりを目指すモデル事業を8都県で実施。長年在宅療養を支援してきた旭川荘が岡山県の事業を委託され、小児科病棟を持つ13病院に調査。12病院が回答した。

 長期入院児が「いる」と答えたのは5病院。在院期間は6カ月以上12カ月未満8人▽1年以上2年未満5人―など=グラフ上。最も長期は8年5カ月入院する8歳児だった。年齢は1歳以上5歳未満が12人とほぼ半数を占め、次いで5歳以上10歳未満が7人だった。

 5人はNICUに入院中で、千グラム未満の超低出生体重児か出産時に重い障害があった。一般病棟の18人は2500グラム未満の低出生体重児のほか、脳炎などの病気を患っていた。

 その後も人工呼吸器をつけるなど医療ニーズが高い患者が多く、退院を妨げている理由(複数回答)は「治療継続中」が11人と最多。だが、病状が安定して退院が可能とみられても「家庭の受け入れが困難」が9人、「施設入所を待っている」も7人いた=グラフ下

 旭川荘地域療育センター副所長の村下志保子保健師は「入院が長期化すると、その子のいない生活が親にとって普通になり、親子関係に悪影響を与えることもある。人工呼吸器をつけていても在宅療養は可能だが、保護者が不安を感じるのは相談窓口や訪問看護などの情報が不足していることが大きい」とし、相談を呼び掛けている。

 モデル事業では在宅の重症心身障害児を受け入れる訪問看護やヘルパーステーションを調査、把握しケアの研修なども行った。旭川荘は在宅療養中の医療、福祉サービスを紹介する冊子も作製する予定。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年05月13日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ