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(5)在宅支援 岡山リハビリテーション病院 看護師 川崎まち子、理学療法士 長江清美

川崎まち子看護師(左)と長江清美理学療法士

リハビリ風景

訪問指導

 当院の病棟はすべて回復期リハビリ病棟としており、集中的かつ効率的なリハビリを行うことにより生活機能の改善を目指し、できるだけ早期に自宅退院・社会復帰していただくことを目的としています。

 入院中のリハビリで生活機能がかなり改善しても、退院後に自宅で生活しているうちに機能が次第に低下する人も少なくありません。障害を抱えた方が、残された長い人生を生き生きと希望を持ってできるだけ自立した日常生活を営むことができるように在宅でのリハビリを支援することもリハビリ病院としての大切な責務と考えております。

 入院中に獲得した生活機能を維持・向上できるように在宅支援として当院では通所リハビリテーションと訪問リハビリテーションを併設しており、回復期から生活期(在宅)まで連続したリハビリサービスを提供できる体制を整えています。

通所リハビリテーション

 利用にあたっては当院入院歴に関わらず、介護保険の認定を受けられた方がケアマネジャーやソーシャルワーカーからの紹介を受けて利用開始となります。職員は医師、看護師、介護士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を配置し、医師の指示のもと個々の利用者に最も適したリハビリを行っています。また、障害を持たれた方にとって口腔(こうくう)内を清潔に保つことや、歯の手入れも非常に大切です。そのため、歯科衛生士の指導による口腔ケアにも力をいれており訪問歯科医による検診も行っています。

 利用開始1カ月以内および生活機能が低下し在宅での生活様式が変わった時などは、理学療法士または作業療法士が自宅を訪問しています。訪問時にはケアマネジャー等に同席していただくこともあり、在宅生活の現状を把握し、介護の工夫や環境調整などをご家族や他職種の方と、より安全な暮らしを送れるよう話し合いをしながら、通所リハビリテーションでの訓練につなげています。

 当院を退院された方の場合は、入院中担当であった療法士も同行することがあり、退院後の生活状況を知る機会にもなっています。ボランティアの受け入れもしており音楽の広場、カット(理容)サービス、演芸などで楽しんでいただいています。

訪問リハビリテーション

 障害を持たれた利用者の自宅にお伺いして自宅やその周辺での機能訓練、環境調整、ご家族の介護指導や相談などを行います。自宅退院後は入院中とは全く異なった状況となり、利用者はもちろん、ご家族の不安や戸惑いは大きいものです。その不安をできるだけ少なくしていくことも大切な役割となります。また、重度の障害のため通院困難な利用者の機能維持訓練、介護指導・相談や、種々の疾患で生活機能低下を生じた場合の機能回復訓練も行っています。介護保険をお持ちでない方(対象でない方)は医療保険を利用し、訪問リハビリテーションを受けることができます。

 医療機関での入院期間が次第に短くなり、自宅で過ごされる要介護状態の方が増えています。それに伴い、訪問リハビリテーションの需要もますます増加傾向にありますが、2010年の統計でも全国の理学療法士6万2千人のうち、わずか4・2%が訪問リハビリテーションに従事しているのみで全く足りない状況にあります。今後、医療機関で働く理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が在宅サービスに関心を持ち、訪問リハビリテーションの従事者が増えていくことを願っています。

=おわり=
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年05月19日 更新)

タグ: 介護

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