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ピロリ菌の新検査薬開発 岡山大、胃がん検診精度向上

横田憲治准教授

 岡山大大学院保健学研究科の横田憲治准教授(細菌学)らのグループが、胃がんの主原因とされる「ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)」の感染を調べる新しい検査薬を開発したと発表した。大阪の試薬メーカーが既に製造、販売しており、胃がん検診の精度向上が期待される。

 検査は、血液中のピロリ抗体の有無で感染しているか調べる。抗原に、日本人から多く見つかる遺伝子型の菌株を用いたのが特徴。欧米人から分離した抗原を使う従来の検査薬は、陽性であっても約5%が陰性と判定されていたが、新しい検査薬は誤判定を0・2%程度に抑えられるという。

 横田准教授らは、2009年に日本ヘリコバクター学会が日本人由来の抗原を使用した検査薬の利用を推奨したのを受け、開発に着手。日本人の患者らから分離した遺伝子的特徴の異なる八つの菌株を大量培養して比較したところ、うち二つが診断に有効なことを突き止めた。

 横田准教授によると、ピロリ菌感染と胃粘膜の萎縮を血液で調べ、胃がんのリスクを判定する「ABC検診」にも活用できるといい「これまでの研究成果を生かすことができた。胃がんのリスクを知ることで、予防や早期治療につながる」としている。

 ピロリ菌 胃の粘膜に生息する細菌。子どものころに井戸水を飲んだり、感染した家族からの食事の口移しなどによる経口感染が主な経路で、感染率は60歳以上で7割、50代で5割とされる。慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍(かいよう)などの原因になっており、ほとんどが投薬で除菌できる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年05月23日 更新)

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