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心臓のポンプ機能に特定タンパク質 岡山大大学院グループ

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の片野坂友紀助教、成瀬恵治教授(システム生理学)らのグループは、血圧の変化などに応じて心臓のポンプ機能を一定に保つ上で、心筋細胞にある特定のタンパク質が関わっていることを突き止め、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に29日発表した。片野坂助教は「心不全や心肥大が発症する仕組みの解明につながる可能性がある」としている。

 心臓は、体の成長や血圧の上昇などに伴い一つ一つの心筋細胞の構造や質が変わることで、ポンプ機能を一定に保っている。この現象は「リモデリング」と呼ばれるが、詳しいメカニズムは分からなかった。

 片野坂助教らは、心筋細胞同士をつないでいる部位にあるタンパク質「TRPV2」に着目。マウスに薬剤を投与しTRPV2の機能を止めると、数日で重篤な心不全に陥ったことから、このタンパク質がリモデリングに関与していることが分かった。

 片野坂助教は「TRPV2は心筋細胞の動きを感知するセンサーで、血圧の変化などに応じて心筋細胞内の他のタンパク質に、細胞のサイズや収縮力などの“指令”を出す役割を担っていると考えられる」としている。

 研究は、内閣府の「最先端・次世代研究開発支援プログラム」により、日本学術振興会の助成を受けた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年05月30日 更新)

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