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(2)イボ痔って言われたけど チクバ外科・胃腸科・肛門科病院理事長 竹馬彰

ちくば・あきら 倉敷天城高、香川医科大卒。恵佑会札幌病院外科勤務などを経て1992年からチクバ外科・胃腸科・肛門科病院勤務。2012年理事長就任。外科認定医・専門医、日本大腸肛門病学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本医師会認定産業医。

 今回から2回にわたって「イボ痔」について述べます。通称「イボ痔」とは直腸と肛門の境界にできる「内痔核」とその外側にできる「外痔核」とに分けられます。内痔核と外痔核が合併している場合も多くあります。痔核は静脈が瘤状(りゅうじょう)に拡張した静脈瘤です。排便時間が長い方や、長時間の座位やしゃがむような体勢でのお仕事などに従事する方にできやすい傾向があります。

 「内痔核」の症状はおもに出血や痔核の脱出(脱肛)です。出血するときにはきれいな鮮血であることが特徴です。時にポタポタと垂れるぐらいの出血を排便時に認めます。その際にも内痔核だけの場合はほとんど痛みません。脱肛は排便時に肛門から静脈瘤である内痔核が脱出してくる状態で、脱出しても自然に納まる状態から指を使って押し込まなければならない状態、最終的にはいつも出っぱなしの状態にまでなります。に私たち医療者がよく用いる痔核の脱出度による分類(Goligerの分類)を示します。通常3度以上の内痔核には手術をお勧めしております。

 「外痔核」に一番よく気がつくきっかけは「血栓性外痔核」と言われる状態で肛門の外側に突然小豆大から親指大くらいの「腫れ」が生じることです。「血栓」とは血液の塊で冷やしたり気張ったりした時に肛門周囲の皮下の静脈内に突然できることがあります。痛みを感じることが多いですがその程度はさまざまです。多くは時間がかかっても自然に吸収されたり血栓を覆っている皮膚が破れたりして腫れはおさまっていきます。一度腫れた外痔核部分の皮膚は若干しわ状になって残ることがあります。この部分が気になる方も多くおられます。

 「内痔核」と「外痔核」は合併する場合も多く、特に長年脱出を繰り返す内痔核の場合には時に腫れが強く起こったりするため外痔核を伴うようになります。

 次回は手術や硬化療法など痔核(イボ痔)の治療に関して書きたいと思います。

◇ チクバ外科・胃腸科・肛門科病院((電)086―485―1755)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年06月17日 更新)

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