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左右反転し脳死肺移植 岡山大病院が国内初成功

国内で初めて左右を反転させて行った脳死肺移植手術=3日午前10時49分(岡山大病院提供)

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は3日、特発性間質性肺炎を患う60代男性=中国地方在住=への脳死肺移植で、ドナーから提供された左肺を右肺に移植する手術に成功したと発表した。肺の左右を反転させた脳死肺移植は国内初という。

 執刀した大藤剛宏肺移植チーフによると、当初は左肺として移植する予定だった。しかし、提供肺は肺水腫を起こしており、状態は良いとは言えなかった。一方、患者は左肺に比べ右肺の機能が著しく低下。

 大藤チーフは「医学的理由で断念する選択肢もあるが、患者の状態からみて最後のチャンスだった。右肺を残すより比較的機能が高い左肺と組み合わせれば、(重篤な状態である)急性期を乗り切れると判断し、反転移植に踏み切った」と説明した。術後の経過は良好で、肺水腫もほぼ回復。3カ月ほどで退院できる見通し。

 手術は午前9時32分から始まり、7時間後の午後4時32分に終了した。反転させた場合、血管の位置が従来と異なるため、つなぎ合わせたり再建するのが非常に困難だったという。

 男性は肺胞壁に炎症を起こし、呼吸時にガス交換が困難になったため、2012年10月に日本臓器移植ネットワークに登録。両肺移植は55歳未満と定められており、左右どちらの肺でも提供を受ける条件で待機していた。ドナーは大阪府立急性期・総合医療センターに入院していた50代女性。

 大藤チーフによると、海外ではフランスで同様の手術の実施例がある。生体での反転肺移植は、京都大病院が夫の肺を妻に移植して成功したと今年5月に発表している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年07月04日 更新)

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