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(3)痔核(じかく)の治療 チクバ外科・胃腸科・肛門科病院理事長 竹馬彰

竹馬彰理事長

 今回は痔核の治療に関して書きます。

 痔の治療といえばすぐに「切られる」「手術」と思う方が多いのではないでしょうか。しかし実際に手術になる方は全体の3割に満たないのです。多くの方は排便などの生活習慣の改善や薬物療法で症状は緩和し手術にまでは至りません。怖がらずに相談してくださることが症状の改善の一歩です。

 薬物療法の基本は軟膏(なんこう)や坐剤(ざざい)などになります。その時の症状に応じて腫れを抑える内服薬や緩下剤などを併用します。おおよそ1―2週間の薬物療法で症状が緩和する方が多いと思います。

 薬物療法で症状が緩和しない場合は手術療法を考えます。手術と言っても「切る」だけではありません。内痔核の場合、軽い脱出症状や薬物療法で抑えられない出血が主な症状の場合は「注射する」硬化療法の良い適応です。現在は硬化療法のうち「四段階注射療法」が主に行われています。再発の問題などもありますが、術後の痛みもほとんど無くよい治療法です。その他にも「ゴム輪結紮(けっさつ)術」といって特殊なゴム輪を用いて内痔核のみを「しばる」結紮療法もあります。この治療も適応を選べば痛みも少なく根治性も高い治療です。これらの治療では入院期間も短く1泊2日程度ですみます。

 脱出症状が強い場合や外痔核を伴っている場合、出血があまりにも多い場合には「結紮切除術」を行います。いわゆる「切る」治療法です。術後の痛みはある程度の期間伴いますが、症状が強い方はほとんどの方が「早く手術すればよかった」とおしゃってくださいます。当院ではおよそ1週間の入院治療をおすすめしています。

 外痔核の中で急に腫れてくる「血栓性外痔核」の場合もほとんどが薬物療法で緩和しますが、腫れや痛みが強い場合には「血栓除去術」といって痔核の中に出来た血栓のみを切除する方法もあります。この治療は日帰りでできます。

 「痔の治療は痛い」「恥ずかしい」という先入観からなかなか受診できない方はまだまだ多くいらっしゃいますが一歩を踏み出してご相談いただければよいと思います。

◇チクバ外科・胃腸科・肛門科病院((電)086―485―1755)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年07月21日 更新)

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