文字 

岡山大を主幹校に11大学連携 新たな歯学教育、来月にも連合組織

 岡山大歯学部(岡山市北区鹿田町)は、全国10大学との連合組織「歯学教育改革コンソーシアム」を9月にも設立し、超高齢社会に対応した新しい歯学教育に乗り出す。嚥下(えんげ)機能の低下など高齢者らに特有の体の不調、症状に詳しい歯科医を養成し、自宅や施設で介護を受けたり長期療養中の人たちのサポート体制を充実させる。

 コンソーシアムは、高齢者らを対象にした歯科医療や研究で実績を挙げている大学が岡山大を主幹校に連携。文部科学省の補助を受けて、外来や入院以外の「在宅歯科医療」の充実に取り組む。助成額は最大5年間で計2億5千万円。

 実施する講義、実習は歯学部3年生以上が対象。参加大学の付属病院で抗がん剤投与時に生じる重度の口内炎に対する治療方法を学んだり、介護施設で摂食・嚥下機能が低下した高齢者に対する検査やリハビリの方法などの指導を受ける。

 また東京大の高齢社会総合研究機構(東京都)、国立長寿医療研究センター(愛知県)といった高齢者に関する研究を専門に行う4機関が協力施設として加わり、疫学研究を支援。終末期のサポートを視野に入れ、死生学を学ばせる講座も設ける。

 岡山大歯学部によると、高齢者らが患う誤嚥性肺炎は口腔(こうくう)内の細菌が主な原因のため、口腔を清潔に保つケアが防止に有効で、歯科医が果たす役割が大きいという。コンソーシアムは虫歯や歯周病など口腔内のトラブルだけではなく、高齢者らのさまざまな病気や症状にも目を向けた教育に力を入れる。

 窪木拓男・岡山大歯学部長は「オールジャパン体制で、これまでにない在宅歯科医療学の教育を確立させる。大学間の教員、学生の相互交流も実施し、教育レベルの均一化も図りながら質の高い歯科医を養成していきたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年08月19日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ