(6)裂肛(上) チクバ外科・胃腸科・肛門科病院外科部長 根津真司
ねづ・まさし 広島県立尾道北高、高知医科大卒。高知県立中央病院、同県立宿毛病院、大原町国民健康保険病院(現・美作市立大原病院)を経て、1994年からチクバ外科・胃腸科・肛門科病院勤務。外科専門医、日本大腸肛門病学会専門医。
症状
特徴的なのが排便時、排便後の痛みです。痛みの程度は我慢できる痛みから我慢できない痛みまでさまざまです。排便後に肛門の筋肉の痙攣(けいれん)が起こると、強い痛みが長時間続くことがあります。出血もよく見られる症状ですが、多くは紙に付着する程度で、時にポタポタたれることもあります。
裂肛が慢性的になってくると、見張りいぼや肛門ポリープができて=図参照、排便時に飛び出して、指で押し込むようになります。また傷が深く硬くなると、治りにくくなってきます(肛門潰瘍)。長期間繰り返しているうちにだんだんと肛門が狭くなってくる場合があります。そうなると便が出にくくなり、便も細くなります。
また傷から細菌が感染し、膿(う)んできて痔瘻(じろう)を形成することもあります。
原因
排便時に硬い便が出ることによって切れることが多いので、日常的に便秘の人に多くみられます。大人にもいえることですが、子供は特に痛みがあると便を我慢してしまい、さらに便が硬くなる悪循環になることがあります。水分を十分に与えたり、よく遊ばせたり、便通を整えることが大切です。
また、肛門が狭い場合、あるいは肛門の筋肉の緊張が強い場合にも繰り返す裂肛の原因となります。肛門の上皮がもともと弱い人は、便がさほど硬くなくても切れやすいです。
◇ チクバ外科・胃腸科・肛門科病院(086―485―1755)
(2014年09月01日 更新)