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<解説>岡山大大学院・新コース設置 地域医療に貢献 優れた臨床医育成

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科が二〇〇七年度に設置する臨床専門医コースは、「医療の発展を支える研究者養成」と「地域に貢献する医療人育成」の役割を融合させた、全国でもユニークな試みだ。

 設置の背景は、二〇〇五年秋の中教審答申。「高度な知識が求められる社会では大学院教育充実が欠かせない」と答申は指摘。医療系大学院でも「優れた研究能力を持つ医師と歯科医師」、つまり“高度専門職業人”の養成が必要と強調している。岡山大が試みる新コースは今後、各地でも設置が進むとみられる。

 現役医師らが新コースで得る利点も大きい。文部科学省医学教育課は「新コースに入学し、研究心を持続させることで症例の分析力が養われ、経験だけに頼らない“証拠ある治療”の充実にもつながる」と評価する。

 入学を希望する遠隔地の医師らには、講義配信などで通学の負担を軽くする工夫も必要だろう。

 カリキュラムには、医療経営に関係した科目の開講や各病院での実習が検討されている。優れた臨床医を育てることが目的だけに、新コースでの教育には地域医療を担う一般の病院、診療所などとの連携が欠かせない。

 岡山大大学院は中四国の医療教育をリードする存在であり、他の大学院のモデルケースを築いてほしい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年07月13日 更新)

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