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「卵子、精子の凍結保存を」 白血病闘病体験者が講演、岡山

骨髄バンク設立に尽くした大谷貴子さんが体験談を話した市民公開講座

 骨髄・臍帯血(さいたいけつ)バンクへの理解と協力を呼びかける市民公開講座が5日、岡山市で開かれた。白血病患者として、骨髄バンク設立運動に身を砕いた大谷貴子さん(53)=埼玉県加須市=が闘病体験やバンクの意義を語り、骨髄移植に伴う不妊問題に触れて「私たちは命を助けてもらいたいけれど、その後には人生がある」と、卵子や精子の凍結保存の普及を訴えた。

 岡山県内で骨髄移植などを受けた患者たちで組織する岡山造血細胞移植患者会「きぼう」が主催。移植を待つ患者家族を含め、支援者ら約100人が聴講した。

 大谷さんは大学院生だった1986年、慢性骨髄性白血病を発病。闘病しながら骨髄バンク実現の署名運動に取り組み、88年、母から骨髄移植を受けて健康を回復。骨髄移植推進財団(現日本骨髄バンク)設立後、評議員を務めている。

 バンクのドナー登録は44万人を超え、多くの患者が移植を受けられるようになったが、移植前の抗がん剤や放射線処置によってほとんどの場合、不妊になる。大谷さん自身、移植後に不妊を告げられ、ひどく落ち込んだ体験を話し、12年間保存されていた患者の卵子から今年、生まれた子どもの姿を紹介。「患者たちが未来を選べる時代になってほしい」と語りかけた。

 ドナー体験者も参加し、今年、骨髄を提供した新見市の男性(46)は「16年前に妻が骨髄移植で救われ、ドナー登録していた。元気になった患者さんからもらった手紙が宝物」と話していた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年10月06日 更新)

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