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インフルエンザ患者数急増 警報発令下の岡山県内

 インフルエンザが猛威を振るっている。全国では広島、香川県などの高齢者施設や病院で集団感染による死亡が続発。岡山県内でも3年前には老人ホームでの集団感染で3人が亡くなっているだけに、関係者は対策に力を入れているが、感染を防ぐのは容易ではなく、苦慮している。

 県がまとめた最新データ(12~18日の1週間)によると、県内84医療機関の1施設当たりの患者数は59・21人で、過去10年間で最も多い状態。県は昨年12月11日に注意報、今月15日には警報を発令しているが、歯止めはかかっていない。

 入院患者も急増している。注意報発令の翌週(12月15~21日)から3週続けて3人だったが、1月5~11日は14人になり、12~18日は15人。年齢別では15歳未満7人、50代と60代が各1人、70代2人、80歳以上4人となっており、子どもと高齢者に集中している。

 昨年9月以降、県内で検出されているウイルスはいずれもA香港型。県健康推進課によると、A香港型は変異しやすいため予防接種していても効果が限定的で、「感染拡大に影響している可能性がある」と指摘する。

 岡山市北区の特別養護老人ホームでは、70代から105歳までの入所者50人全員が流行前に予防接種を済ませていた。各部屋にアルコール消毒液を置き、小まめに使うようにも努めていた。

 ところが、昨年12月下旬から今月上旬にかけて入所者と職員合わせて約40人が発症し、10人が入院。施設の代表者は「要介護度の高い人が多く意思表示がしにくいため、体調変化を見極めるのが難しい。職員が減りシフトのやりくりも大変だった」と話す。感染拡大を防ぐため、岡山市保健所のアドバイスで外部からの立ち入りを2週間制限するなど対応に追われたという。

 屋外での活動後や食事前などに手洗いとうがいを徹底していた岡山市北区の幼稚園も今月、集団風邪で1クラスが学級閉鎖になった。園長は「家庭でも手洗いやうがいをしてもらうなど、保護者と連携して子どもたちの健康を守りたい」と表情を引き締める。

 川崎医科大の中野貴司教授(川崎病院小児科部長)は「子どもや高齢者は脳症や肺炎を起こしやすい」とインフルエンザの怖さを強調し、「予防接種していても油断せず、十分な休息やバランスの良い食事で抵抗力を高めることが大切」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年01月27日 更新)

タグ: 高齢者子供

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