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酒で仕事トラブル 社員の有無調査 岡山市内の企業対象に県立大

井村圭壯教授

 岡山市内では企業の1割以上に、アルコールが原因で仕事上の問題を起こしたことのある社員がいることが、県立大保健福祉学部の井村圭壯教授(社会福祉学)の調査で明らかになった。一方、75%を超える企業が対策を講じていないと回答。井村教授によると、こうした調査は珍しいといい、「企業の問題意識の低さが浮き彫りになった」と指摘する。

 昨年6月、飲酒による健康障害の対策を国や自治体に義務付けた「アルコール健康障害対策基本法」が施行されたことを受け、実施した。

 昨年9~10月、岡山市内の300社を無作為に選び、人事担当者宛てにアンケート用紙を郵送。118社(回収率39・3%)から返信があった。内訳は製造業33社、建設業21社、卸売業20社、サービス業18社、運輸業14社、その他12社。

 「アルコールで仕事上何らかの問題を起こした社員はいるか」との問いに、17社(14・4%)が「いる」と答えた。業種別に「いる」とした企業の比率をみると、運輸業が42・9%と最も高く、製造業(18・2%)卸売業(10・0%)サービス業(5・6%)の順。建設業はゼロだった。

 「出社時にアルコール臭のする社員がいたか」については37・3%が「いた」とした。業種別の比率は運輸業(57・1%)卸売業(45・0%)サービス業(38・9%)など。

 アルコール問題への対策の有無を聞いたところ、75・4%が「対策なし」と回答。業種別では運輸業の85・7%が「対策あり」としたが、他の業種は15~19%にとどまった。具体的な対策としてはアルコールチェック、就業規則の罰則規定などが自由記述で挙がっていたという。

 井村教授は「業種によって意識に差があるようだ。今後は調査対象を県内全域に広げるなど、より詳しい調査を行いたい」としている。

 厚生労働省の2013年の調査によると、アルコール依存症患者は全国で109万人と推計されている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年02月01日 更新)

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