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(12)お尻から血が出たら チクバ外科・胃腸科・肛門科病院会長 竹馬浩

竹馬浩チクバ外科・胃腸科・肛門科病院会長

 

 肛門出血のいろいろ

 日本中に洋式便所が普及して、「何か異常はないか」とトイレをのぞき込んでみることが多くなった。よいことだ。便器が真っ赤であれば「それ大変!」と、病院に駆け込んでくるのは平素、血を見ない男性に多い。その際、じっくり血の性状を見てほしい。

(1)無痛で、真っ赤なポタポタ出血→内痔(じ)核

(2)排便時痛があってわずかな出血→切れ痔

(3)便に混じったどす黒い血→大腸がん疑い

(4)多量の「下血」→結腸憩室、腸炎など

 最近は便秘が原因で高齢者の大量出血もあるので、自己診断しないで相談してほしい。

 大腸がん検診で潜血反応陽性が出た!!

 近ごろの検便は人免疫法だから、人間の血液にのみ反応し、食べ物には無関係。それに寄生虫の検査ではない。肉眼では見えない出血を見つけることができるので、中高年の方は毎年必ず受けてほしい。提出する方は4人に1人くらいしかないので、がんを早期に見つけたい人はぜひどうぞ。「陽性」という通知書が届いたら、心配でその晩は眠れなかったという人がよくあるが、その中でがんは2%くらいで、多くは痔からの出血であり、その鑑別は最終的には大腸内視鏡検査になる。

 大腸内視鏡検査とポリペクトミー

 誰だって長生きをすれば身体のどこかに問題が出てくる。早く見つければ自分が苦しまずにすむし、人にも迷惑をかけないので、自覚症状がなくても、面倒くさがらないで定期的にチェックをお勧めする。異常がなければ2~3年先でよい。自分の誕生日を検査の目途にしている人もある。ポリープはよく見つかるが3ミリを超えれば2~3日の入院で内視鏡的切除(ポリペクトミー)は簡単にできるし、もし早期のがんが見つかれば幸いと思いたい。

 自分の健康管理は自己責任であり、「お尻から血が出たら」冷静に大腸肛門の診察をお勧めする。中途半端な自己診断は大ケガの元だ。

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 ちくば・ひろし 岡山操山高、岡山大医学部卒。岡山大第一外科入局。岡山大病院講師を経て1972年倉敷市林で開業、現在に至る。医学博士。日本大腸肛門病学会指導医ほか。

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 チクバ外科・胃腸科・肛門科病院((電)086―485―1755)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年02月02日 更新)

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