文字 

腎臓がんカンボジア男児手術へ 国立岡山医療センター

青山名誉院長(右)に迎えられるマカラ君と父親ら

 小児腎臓がんを患うカンボジアの男の子が15日、検査と治療のため、国立病院機構岡山医療センター(岡山市北区田益)へ入院した。現地で国際医療援助を行うNGO「ジャパンハート」(東京)の橋渡しで訪れ、17日に腫瘍の摘出手術を行う予定。

 患者は首都プノンペンの北35キロの村に住むスオン・マカラ君(7)。今年2月、右の腹部が腫れ、受診した病院で腎臓がんと分かった。ただ、経済的な理由などから十分な治療は受けられず、4月にジャパンハートが行っていた無償の診療活動を訪ねた。

 翌月、小児外科医の吉岡秀人代表(49)が幼児に多い固形がんの一種「腎芽腫」と診断。そのまま放置すれば余命数カ月だが、早期の手術で救命できるとして、医療設備が充実しており、これまでも連携してきたNPO法人中国四国小児外科医療支援機構(事務局・岡山医療センター)に協力を依頼した。

 同センターに到着したマカラ君は「ちょっと疲れた」と緊張した様子。付き添う父親のドォオン・キムセンさん(30)は「手術は少し不安だが、来日できてうれしい」と話した。精密検査の結果、転移はないとみられ、17日朝から青山興司名誉院長(72)の執刀で手術を受けることになった。約3時間で終わる見込み。

 会見した吉岡代表は「現地には小児がんを治療できる施設がなく、助かる命も救えないのが現状」と窮状を訴えた。青山名誉院長は「手術後はカンボジアで化学療法など治療が続けられるよう医療体制を整えるなど援助を行い、できるだけ早く帰国させたい」と話した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年06月16日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ