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元看護職の復帰支援に懸命 2025年問題で岡山県看護協会

復職希望者に知識と技能を教える県看護協会の看護技術講習会

 岡山県看護協会(岡山市北区兵団)が出産などで退職した看護職(保健師、助産師を含む)の復職支援に努めている。団塊世代が75歳以上に達し、医療需要の高まりが予想される「2025年問題」を見据え、人材を確保したい考えだ。一方、潜在化した有資格者の届けが伸び悩むなど課題もあり、経験豊富な即戦力の復帰は思うように進んでいない。

 「悩んでいるのは自分だけじゃないと知ってほっとした。背中を押してくれた」

 8月下旬、県看護協会が岡山市内で開いた定例の看護技術講習会。参加女性(49)は復職に意欲を示した。

 夜勤業務の過酷さから20代で看護師を辞めた。現在は会社員だが、3年前に母親が入院した際、看護師の仕事ぶりに刺激を受け、講習会に参加した。

 今回の講習会は、岡山、倉敷市などから32~49歳の11人が受講。人形を使い、患者の容体、血圧や心拍数の変化といった医師に伝える情報を把握する訓練などに取り組んだ。受講者は「きめ細かい指導が受けられて良かった」などと話していた。

 県看護協会の退職者への復職支援は手厚い。退職時に協会内の県ナースセンターへの「届け出制度」を13年7月に導入。同意が得られた人に住所、電話番号などを登録してもらい、希望者に病院の情報を提供している。

 さらに、今年2月からは、センターの相談員らが就職先を紹介する「出張相談」を倉敷、津山、玉野市で開始。今後も県内各地で開く予定だ。離職中のブランクが不安な人には、センターで電子カルテの操作といった実務的な指導も行うなどサポート態勢を整えている。

 県看護協会によると、こうした取り組みが奏功し、看護職の県内在職者は2万7434人(14年末現在)。10年度から毎年度300人以上の離職者が復職しており、在職者は10年前より約4千人増えた。

 ただ、山間部を中心に慢性的な看護職不足は解消されていない。加えて、医療・介護のニーズの高まりがピークを迎える2025年問題もある。

 解消にはセンターへの届け出を増やすことが近道とみられるが、3月末現在で届けている人は550人で、制度開始以降の離職者計3138人の17・5%にとどまる。

 平井康子常務理事は「近い将来の看護師不足に対処するためには、即戦力となる“潜在看護職”の復帰が欠かせない。センターへの届け出に協力してもらえるよう各病院などを通じ、働き掛けたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年09月09日 更新)

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