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介護職の魅力発信へあの手この手 県内、PR役に若手任命や催し

「カイゴ男子・カイゴ女子」を発掘するプロジェクトの最終審査会。介護職の魅力を来場者にアピールした=昨年11月21日、岡山市内

 介護職の魅力を発信する取り組みが岡山県内で目立っている。現場で輝いている若手職員を発掘し、PR役に任命するプロジェクトが昨秋始動。2月には介護技術を公開で競うイベントも計画されている。職員の不足が深刻化する中、業界のイメージアップを図り、人材の確保につなげようとする試みだ。

 「施設の利用者に癒やされ、元気をもらえる」「それぞれの職員が本当に必要とされている」―。

 介護現場で働く若い男女各7人が順番にステージに登場し、仕事着でポーズを決める。介護の魅力ややりがいを発表し、私服姿で趣味など私生活の充実ぶりもアピールした。

 昨年11月下旬に岡山市であった、輝く「カイゴ男子・カイゴ女子」を選ぶプロジェクトの最終審査会。県老人福祉施設協議会による初の企画で、グランプリなどに選ばれた男女4人は、写真集のモデルを務めるなどして業界のPRを担う。

 真庭市内の特別養護老人ホームの職員で、グランプリを獲得した介護福祉士古山喬成さん(27)は「介護について広く知ってもらい、業界を盛り上げる力になりたい」と意欲を見せる。

高い離職率 

 国内では急速に高齢化が進む一方、介護職の人材不足が続く。背景として、重労働の割に他業種と比べ賃金が低いことが指摘されている。

 岡山公共職業安定所管内の介護職の初任給は大卒約18万4千円(高卒約16万4千円)で、看護職より約3万6千円(高卒は約1万2千円)低い。

 厚生労働省などによると、介護職の離職率は全産業の平均より高く、2014年度の県内の有効求人倍率(雇用期間4カ月未満を除く)は2・43倍で05年度(1・55倍)から大幅に上昇。厚労省は、団塊世代が75歳以上になる25年度に全国で約38万人、県内で約6千人の職員が不足する恐れがあるとする。

 介護報酬の15年度改定で、賃金が平均月1万2千円上がるよう「処遇改善加算」が拡充されたが、岡山市内の養護老人ホーム関係者からは「手取りは増えたが他業種との差が縮まったかは疑問」との声が漏れる。

官民組織も発足 

 現状の打開に向け、県と県社会福祉協議会は14年度から、介護の日(11月11日)に合わせた業界のPRイベントを岡山市で開催。15年は、若手職員が“本音トーク”を繰り広げたり、福祉・介護の仕事に関する相談コーナーを設けたりした。「カイゴ男子・カイゴ女子」を発掘するプロジェクトの最終審査会も併せて行われた。

 今後も2月21日、県介護福祉士会が初の「介護グランプリ」を同市で計画。介護職員が排せつと入浴、食事の介助技術を競い、様子を一般に公開する。「生き生きとした姿を多くの人に見てほしい。競う機会があれば職員のモチベーション向上にもなる」と同会。

 官民を挙げた組織「県福祉・介護人材確保対策推進協議会」も、県や岡山労働局、介護、福祉関係団体など14団体で昨年6月に発足した。同協議会の財前民男会長は「“オール岡山”で人材確保に取り組む態勢ができた。関係者が一体となり、介護職に関する啓発をはじめ求人側と求職者のマッチング、職場での定着支援に中期的に取り組みたい」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年01月04日 更新)

タグ: 介護

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