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すり減った犬歯 金属材料で修復 岡山大・山下名誉教授ら開発 接着剤で固定 歯ぎしり治療に成果

歯ぎしり治療のため金属材料を張り付けた犬歯

山下敦名誉教授

 歯ぎしりで削れてしまった犬歯を、歯科用の金属材料で修復する治療法が注目されている。摩耗に強い金属材料を強力に接着し、犬歯を元の形に戻す手法で、数回の外来で対応できる。すり減った犬歯を放置すると、すり減りが全体に広がる恐れもあり、専門家は早期の診察・治療を呼び掛けている。


 治療法は、岡山大の山下敦名誉教授(歯科補綴(ほてつ)学)と、同大大学院医歯薬学総合研究科顎(がく)口腔機能制御学講座が開発した。

 人間の歯は、根が長く鋭くとがった「犬歯」が上下各二本あるために、歯をすり合わせるときは犬歯は接触するが、周囲の歯は接触せず、横方向の揺さぶりの力から守られている。ところが、歯ぎしりにより犬歯がすり減ると、揺さぶりの力が他の健康な歯にまで及び、放置すると割れることがあるという。

 治療は、犬歯が過度にすり減り、周囲の歯にも影響が出ると予想される患者が対象。減った部分を金属材料ですり減る前の正常な形に作り、接着剤で固定する。これまで治療した十九人の治療後五~十五年の状態を調べたところ、全員が犬歯の金属が外れることなく機能し、周囲の歯も守られていたという。

 従来は金属材料をアルミのピンで止めるなどしていたが、犬歯に穴を開けたり削ったりするため、歯がもろくなるケースもあった。

 山下名誉教授は「歯ぎしりの原因を取り除く治療法はまだなく、歯をいかに保護するかが課題だったが、この治療法で一定の成果が得られた」と強調する。

 歯ぎしりの診断法についても新たな動きがでている。従来は入院して大掛かりな装置で測ったり、家族からの聞き取りを基に判断していたが、岡山大は二〇〇五年三月、就寝中の歯ぎしりの頻度が測れる新装置(長さ七センチ、幅二・五センチ、厚さ三ミリ)を開発した。顔に張るだけの簡単な装置で、かむ時に動かす筋肉の電流を、内蔵した電極で六時間測定。なし(四十回未満)から小(四十~七十四回)、大(百二十五回以上)まで四段階で表示する。

 山下名誉教授は「今後はこの検査法を併用した治療を進めていきたい」としている。


ズーム

 歯ぎしり 睡眠中などに「ギリギリ」と音を出す口腔異常習慣の一つ。歯にかかる力は約70キロといわれ、食事中の約10キロと比べ数倍の圧力がかかる。歯周病の悪化やあご関節の病気だけでなく、他人への睡眠妨害も懸念される。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年12月12日 更新)

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