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歯科医あの手この手 夜間診療、アニメ上映、完全個室・・・ 岡山県南部 「選ばれる医院に」 サービス多様化へ拍車

アニメを見ながら診療を受けられる歯科医院

 岡山県南の歯科医が、夜間診療やアニメ上映などユニークな取り組みを繰り広げている。合言葉は「選ばれる歯科医院に」。県内の歯科医師数は全国的に多いとされることも、サービスの多様化に拍車を掛けているようだ。

 「遅くまで受け付けてくれるので仕事帰りに便利。おかげで治療も継続的に受けられる」と話すのは、岡山市今の歯科医院に退社後に訪れた同市豊浜、会社員磯部昌章さん(28)。

 この歯科は、五年前から平日午後九時までの夜間診療をスタート。サラリーマンやOLの注目を集め、歯科医女性は「午後六時以降の予約はすぐ埋まる」という。

 同市平野で開業する歯科医は幼児用の絵本、玩具をそろえたキッズルームを院内に設けた。診察台にはモニターを備え、子どもの緊張を和らげるためにアニメ映画などを上映。院長は「通いやすい歯科医院になれば、予防につながる」と説明する。

 倉敷市田ノ上の歯科医院も、「怖い」「痛い」イメージをなくしてもらおうと、定期的に子ども向けのイベントを開催。歯についての人形劇を見たり、スタッフとゲームで遊び、四十人以上が参加するという。

 同市幸町の歯科医院は完全個室で治療する。「治療内容を詳しく話すため、プライバシーに配慮した」とし、一人当たりの治療時間は一時間かけ、十分な説明で納得してもらうという。

 県歯科医師会事務局などによると、県内では休日開院を行ったり、留学生や外国からの旅行者向けに英語での対応が可能な歯科医院があるほか、高齢化に伴う在宅治療ニーズの高まりを受け、訪問診療を行う歯科医院も増えつつあるという。

 厚生労働省の統計では、岡山県は人口十万人当たりの歯科医師数(二〇〇四年末現在)が約八十人で、全国五位。多様なサービスの背景で「生き残りのためには、あの手この手を考えざるを得ない」(岡山市のある歯科医)との本音も漏れる。

 岡山大の滝川正春歯学部長は「歯科医師の増加で県内の歯科診療の質が向上したのも事実。ただ県北部では、いまだに歯科医師が不足するなど『南高北低』の様相を呈しており、受診の機会均等が今後の課題」と指摘している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年12月27日 更新)

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