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全盲の長船さん(岡山盲学校教諭)柔道初段に 視覚障害者の競技普及願う

昇段の証書を手に笑顔を浮かべる長船貢さん=岡山武道館

 全盲で岡山盲学校教諭の長船貢さん(32)=岡山市古京町=が柔道初段の昇段試験に合格した。目の不自由な競技者があまりいない県内では「ほとんど例がない」(県柔道連盟)そうで、長船さんは「視覚障害者にも柔道ができることを広く知ってもらいたい」と黒帯を締めて顔をほころばす。

 網膜剥離(はくり)で失明した福岡・北九州盲学校高等部2年のときに競技を始めた。同部卒業後、柔道から離れていたが、2004年に教諭として赴任した岡山盲学校の同僚に誘われ、昨年1月に再開。「やるからには黒帯を」と、昨秋に一般と同じ昇段試験に挑戦した。支え釣り込み足で一本勝ちするなど4勝1分け、続く形の講習もクリアし、18日に昇段証書を受け取った。

 「柔道は健常者と一番、対等に戦える」と話す。常に組んだ状態で試合を行うという点を除き、ルールはほとんど変わらない。両手の感覚だけを頼りに相手に立ち向かい、「恐怖感は全くない」と言い切る。ハンディなしの真剣勝負を味わえるのが最大の魅力だ。

 「努力して困難を乗り越えようとする姿勢は素晴らしい。岡山の視覚障害者の競技普及にもつながってほしい」と県柔道連盟の内野幸重会長はエールを送る。

 長船さんは岡山盲学校で、はりやマッサージを教える傍ら、昨春に新設された柔道部の顧問も務める。まだ部員は3人、練習時間も少ないが「いずれは本格的な部にしたい。視覚障害者が柔道を始めるきっかけになるためにも、自分が先頭に立ち競技を続けていかなければ」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年01月21日 更新)

タグ: 健康福祉

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