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紹介状がないと… 格差広がる初診費用 岡山県内大病院 13施設 5250~1050円上乗せ 10施設は導入見送り

初診料の上乗せ額(表)

紹介状がないと初診料のほかに特別の料金がかかることを知らせる岡山大病院の掲示。こうした保険外併用療養費の徴収には院内の掲示と患者の同意、領収書の発行が必要となる

 紹介状がない場合、初診料のほかに特別の料金をいただきます―。こんな説明を大きな病院の窓口で受けたり、掲示で見た人は多いだろう。診療所などかかりつけ医との役割分担を促すため、国がベッド数二百床以上の病院に認めている初診料の「上乗せ」のことだ。昨年秋に保険外併用療養費の一つとして医療制度上、あらためて位置づけられた。岡山県内では大病院の56・5%に当たる十三施設が徴収。その額は千五十~五千二百五十円==と幅広く、格差が広がっている。


 上乗せ額は各病院が自由に設定できる。本来の初診料(二千七百円、うち患者負担は通常三割)と異なり、公的医療保険がきかず、全額を患者が負担することになる。

 上乗せ額が岡山県内で最も高いのは岡山大病院(岡山市鹿田町)の五千二百五十円。全国的にも東京大、慶応大病院などと並び最高クラス。「院内で種々検討の結果、当院にとって最も有利となり、また社会通念上も認められると思われる全国実態調査の上限値を昨年四月から採用している」と岡山大病院。それ以前に比べると、一挙に倍増したことになる。

 同病院が言う全国調査は厚生労働省が二〇〇四年に実施。二百床以上の病院の四割に当たる千百三十八施設が上乗せ徴収しており、額は最高で五千二百五十円、最低で二百十円だった。

 ただ、岡山大病院も歯科については「近隣医療機関で(上乗せを)設定しているところは皆無なので二千六百二十五円に据え置いた」。実際に紹介状を持たず受診し上乗せ分を負担するのは、医科、歯科とも初診患者の二割弱という。

 これに次ぐ三千百五十円は三施設。このうち、倉敷中央病院(倉敷市美和)は「岡山県内外の病院の価格を参考に決めている」と言う。上乗せ分を負担するのは初診患者の半分程度。岡山大病院同様、昨年四月に五百二十五円値上げしており「受診する際はできるだけ紹介状を持ってきてほしい」と患者に呼び掛けている。

 一方、岡山県内の十施設はベット数二百床以上でも上乗せを見送っている。その一つ、岡山協立病院(岡山市赤坂本町)は医療費の患者負担が増す流れの中、「病院独自で新たな負担はかけられない」と語る。

 また、笠岡市民病院(同市笠岡)は「もともと紹介患者は少なく、一般診療が中心のため」と大学病院などとの役割の違いを説明。大病院であっても、かかりつけ医の機能を担っているのを徴収見送りの理由に挙げる。

 初診料の上乗せは一九九六年に国が広く認めた。患者に対し、初期の診療は地域の診療所や小さな病院で受けるよう促し、高度、専門的治療が必要な場合は大病院に紹介してもらう「病診連携」を進める狙い。ただ、診療所などで紹介状を書いてもらうには初診料と診療情報提供料の場合で、三割の患者負担が千五百六十円かかる。



ズーム

 保険外併用療養費制度 公的医療保険のきく診療と、全額患者負担となる保険外診療の併用を例外的に認めた制度。将来、保険診療になる可能性がある「評価療養」と、患者が選ぶ「選定療養」に大別されている。国が昨年10月、従来の特定療養費を見直し再編成した。評価療養は先進医療(生体部分肺移植など113技術)や医薬品・医療機器の治験など。選定療養は、紹介状なしで大病院を受診する際の初診料や差額ベッド代、180日を超える入院などが含まれる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年02月06日 更新)

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