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岡山県 30代の乳がん視触診廃止 国の有効性否定受け指針変更

 岡山県は4月から、市町村が行う乳がん検診に関する指針で、県独自に推奨してきた30歳代への視触診を廃止する。国が視触診だけの検査の有効性を否定したためで、30歳代には指針に明記しないものの、超音波検査と自分でしこりの有無などを確かめる自己検診を呼び掛けていく。

 乳がん検診について厚生労働省はこれまで、30歳代では検査を必要とせず、40歳以上でマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)と視触診の併用検査を2年に1度行うことを推奨してきた。しかし、昨年7月に「視触診は死亡率の減少効果が十分ではない」などとして「40歳以上は2年に1度、マンモグラフィー単独でよい。視触診は任意」と指針を改めた。

 県は2004年、厚労省と異なる指針を策定。40歳以上はマンモグラフィーと視触診の検査を「2年に1度」ではなく「毎年」行い、30歳代はマンモグラフィーの精度や被ばくのリスクを考慮し、視触診だけの検査を毎年するように定めていた。県内のほとんどの市町村が県の指針に従って検診をしてきたという。

 新指針では40歳以上について、罹患(りかん)率が一気に上がることやマンモグラフィーだけでは見落としのリスクがあるため、これまで通りマンモグラフィーと視触診の併用検査を毎年行うとした。

 厚労省によると、国と違う方針を打ち出している都道府県は少ない。県指針を検討した協議会の責任者、川崎医科大病院の園尾博司院長は「マンモグラフィーは万能ではなく、視触診との二重チェックが有効という考えに変わりはない。検査は2年に1度よりも毎年行う方が早期がんの発見率が高いという県独自のデータがあり、40歳以上は従来の方針を変えないことにした。30歳代も油断せず、自己検診をし、超音波検査を受けてほしい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年03月31日 更新)

タグ: がん女性

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