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故江草安彦氏の40の言葉紹介 「福祉の世界で働く君へ贈る」出版

江草氏の言葉を集めた「福祉の世界で働く君へ贈る」

 社会福祉法人旭川荘(岡山市北区祇園)名誉理事長で昨年3月に亡くなった江草安彦氏が、生前、語った言葉や逸話を集めた「福祉の世界で働く君へ贈る―江草安彦40の言葉―」(第一法規)が出版された。高い専門性が求められる半面、重労働・低賃金で離職率の高い福祉業界。現場の一線に立つ人や、新たに福祉職を志す若者を励まし勇気づける一冊だ。

 地域福祉の道を切り開いてきた江草氏の言葉は、旭川荘職員に大きな影響を与え意欲を引き出したという。同書は厳選した40の言葉を「志」「成長」など五つの章に分け、実際のやりとりも交えて紹介している。

 印象的なのは「人の幸せは、人の役に立つこと、必要とされること」との持論。時代が変わっても「人間の尊厳は不動」で、「他者の尊厳を守るのが福祉職」と説いた。

 とはいえ、日々の忙しさの中では働く意味を見失いがち。人は「自分が理想とする社会をつくるために働く」のであり、「その職業を通してどんな生き方をするのかが問われる」との言葉は、福祉従事者のみならず、多くの職業人の道しるべになるのではないか。

 各章末には、前厚生労働事務次官の村木厚子氏ら親交のあった福祉関係者が、江草氏をしのぶコラムを寄せている。

 A5判、197ページ。2160円。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年06月11日 更新)

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