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高齢者「医療サイン」 岡山の宮原医師が解説本 苦しそうな息、おなかの張り… 家族らの対応示す

呼吸が苦しそうなことに気づいたときの対応(表)

「ホームヘルパーと介護者のための医療サイン」を手にする宮原医師

 お年寄りの呼吸が苦しそうなことに気づいたり、おなかが張ると訴えられたとき、ホームヘルパーや介護家族はどう対応したらいいのか? 岡山市の医師、宮原伸二さん(64)が、そのポイントをまとめた「ホームヘルパーと介護者のための医療サイン」を出版した。

 宮原さんは一九七一年から計二十五年間、秋田、高知県の農村で地域医療に取り組んだ。現在は岡山市の診療所で診療する一方、訪問介護などの在宅介護サービスや有料老人ホームを運営するNPO法人総合ケアシーザル(同市西市)の理事長を務めている。

 その豊富な経験から、高齢者の異変、訴えを「医療サイン」ととらえ、対応の仕方をヘルパーや家族に知ってほしいとまとめた。呼吸が苦しそう▽なんだか元気がない▽床ずれがある―など「気づきの介護」三十一項目と、頭が痛い▽おなかが張る▽寝られない―など「訴えを受けとめる介護」二十八項目について、声かけから観察のポイント、サインへの対応を示している。

 例えば、呼吸が苦しそうなことに気づいた場合、いつからか、痛いところはないかを尋ね、呼吸や会話の状態、くちびるの色、むくみの有無などを観察。医師や訪問看護師に連絡した上、すぐ病院へ連れて行ったり救急車を呼ぶか、様子をみるかを判断する=表。

 最近は在宅医療が盛んになり、医療機器をつけ家で暮らす高齢者も増えている。おなかに穴を開け胃に栄養を送る胃ろうや人工ぼうこうなどに対する「特別な介護」や、けいれんや嘔吐(おうと)・吐血など「緊急に対応する介護」についても紹介。こうした医療対応は医師、看護師の指示を受けるのが前提だが、その中でヘルパーに可能な医療行為の範囲も解説している。

 宮原さんは「単に痛そう、苦しそうと医師、看護師に伝えるのでなく、ポイントをつかんで連絡してほしい。医師の到着前に適切な観察と処置が施されていれば治癒率の向上にもつながる」と訴えている。

 「ホームヘルパーと介護者のための医療サイン」は創元社刊。A5判、二五五ページ。一八六〇円。問い合わせは総合ケアシーザル(086―805―2880)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年05月19日 更新)

タグ: 健康介護高齢者福祉

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